- コスト削減の今 - 経済危機に勝つためのIT活用新時代

- コスト削減の今 - 経済危機に勝つためのIT活用新時代

会場:東京都中央区新川 内田洋行ビル
主催:内田洋行
講師:MM総研所長 中島 洋

 まず、最新のキーワードを4つあげることから講演は始まった。

 一つ目は「グリーンICT」。それも2つの意味がある。ICT自体が化石燃料を燃やして地球の炭酸ガス負荷を大きくしないこと。システムの省エネ化、あるいは太陽電池や水力、風力などクリーンエネルギーを利用すること。これは同時に運用コストを下げ、コスト削減につながる対策である。もう一つは社会の仕組みや企業の業務体系を情報システムによって省エネ体質に作りかえることである。省エネ=コスト削減なのでこの目標は受け入れやすい。

 2番目はクラウドコンピューティング。Webサービスやグリッドコンピューティングの技術の発達によってシステム連携が容易になった。ネット全体を情報資源にして効率よく活用する手法が見えてきた。その一部として「SaaS」もある。システムをアウトソーシングして必要なだけ借りる。コスト削減の決め手である。

 3番目は沖縄で実験が始まった「環境家計簿」である。ユビキタス特区の実験で、SaaSを利用して家庭生活での環境負荷のデータを集計して「見える化」する。スーパー「イオン」グループと提携して、イオンが保管する購買履歴の詳細データを、レシートの番号を入れるだけでイオンのデータベースからSaaS
サーバーに作成したユーザー固有のネットワーク家計簿に移してこられる。この仕組みで面倒な家計簿が作成できるだけでなく、購入した製品の作成過程で出てくる炭酸ガスの負荷も同時に集計できるので、今日の買い物でどれだけ地球に負荷をかけているかが分かる仕組みだ。日々の生活スタイルの改善を促すだろう。家庭ですら集計できる。企業は「環境会計」が義務付けられて、「品格ある企業」への要求に発展することだろう。中小企業にも要求されるが、このことを契機にSaaSによる経理の利用など、経営コストの圧縮手法に理解が深まるだろう。

 そして最後が、「機動的な経営」である。現在はBI(ビジネスインテリジェンス)や「BAM(ビジネス・アクティビティ・モニタリング)」などの仕組みで実現する。これはビジネスプロセスの「見える化」を同時に実現して、無駄な業務のあぶりだし、効率の良い業務プロセスへの改革を促すことになる。

 今後はこの4つのキーワードで企業経営が動くことになるだろう。

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