会場 台北市・国立台湾大学カンファレンスルーム
主催 CISA(中華民国情報サービス産業協会)
08年秋、全国ソフトウェア協同組合連合会は台湾のCISA(中華民国情報サービス産業協会)と今後の国際市場での事業展開で協力する提携関係に入った。日本と台湾で交互に「ビジネス交流会」を開催しているが、今回は台湾での2度目の交流会である。今回は連合会の会長として日本側を代表して基調講演を行った。
まずこの1年で東アジアの情勢は大きく変わって「Asia as No1」の歴史的大展開の時期にさしかかった、と時代認識を改めるように主張した。それは「米国一極集中の世界経済の終わり」の再確認である。リーマンショック後の欧米経済の衰退が長引き、依然として、「出口」が見えない間に、東アジアは着実に成長を続け、欧米と東アジアの差が急速に縮まった。もちろん、21世紀にはいって、中国・インドがそれぞれ世界の製造拠点として、あるいはサービス供給拠点として急成長を遂げていたが、それは「労働力や資源の供給基地」としてのものだった。現に起きつつあるのは、それを超えて、消費市場としての成長で、質的に根本的に変化を遂げたと言える。
そのことを端的に示すのが日本の輸出構造の変化である。20年前の1989年時点では、日本の輸出相手は米国が35%超でトップ、ドイツ、イギリスなども上位にあって、欧米で半分程度を占めていた。ところが2009年には、中国が18%超で米国の約16%を抜いてトップになって、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポールなどが上位を占め、東アジアだけで半数を占めるに至っている。特に中国は20年間で10倍近くに増加した。明らかに日本は東アジアの経済圏に入った。
当然、単なる輸出では終わらず、市場の中で生産する形に進化するので、ノウハウの詰まった日本の情報システムを東アジアに移転することになる。その際に、大中華圏である東アジアに日本企業が単独で進出するのは難しい。社会、習慣を良く知る、資本主義を理解する国や企業の協力が不可欠である。あるいは、日本のサーバーにプログラムやデータを置き、現地ではシンクライアントの端末で利用する、という形が重要になるかもしれない。クラウドである。日本企業にとって、重要なサポーターは台湾であり、台湾企業である。クラウドを共通の基盤にして、今後さらに、台湾と日本産業界の間で、緊密な協力関係が進展することを切に望んでいる。