主催:グループCIO交流会議(IT協会)
場所:那覇市・パシフィックホテル沖縄
大手企業のグループ会社は情報システム部門を独立会社として分離し、企業グループ全体の情報運営拠点にしているケースが多い。その情報子会社の社長、経営陣は「グループCIO」と呼べる役割で、共通の問題意識をもっている。IT協会は、そのグループCIOの勉強会の組織をもっているが、定例の勉強会を沖縄で開催した。急速に進展している沖縄のIT施設の視察とアジアの中の日本の情報産業を、東アジアの中心に近い沖縄に行って考えよう、という企画である。
この勉強会の座長は「美(ちゅ)ら島沖縄大使」も兼ねているMM総研所長の中島、当メルマガの筆者である。また、内閣府と沖縄県が東アジアの情報基地にしようと建設中の「IT津梁(しんりょう)パーク」の検討委員会の座長も中島が務めた。今回は、始動した「IT津梁パーク」を訪問するとともに、沖縄に進出している日本IBMビジネスサービス、外為ドットコムなどの企業に沖縄のメリットを紹介してもらい、沖縄GIX(グローバル・インターネット・エクスチェンジ)事業などの新しいインフラの動きも説明してもらった。基調講演はこれらのレクチャーの前座で、東アジアにおける日本の企業活動の急速な進展とそれを後方支援する情報ネットワークの基地としての沖縄の役割を概説した。
特に今後、注目されるのは沖縄GIXである。
沖縄と香港を直接にIP回線で結んで、従来の米国経由でアジアと結んできた日本のインターネットユーザーの不便を緩和しようという新しいインフラである。今年の3月まで行った実験では、パケット取り扱いの中継点の数であるホップ数が減らせるので、情報の転送速度が5倍以上、遅延時間が5分の1以下になった。アクセス時間が生命線になる証券会社や金融機関には重要なメリットが出る。これまでは沖縄のデータセンターは国内の災害時のバックアップの機能として注目されてきた。これは東京や大阪から離れている「辺境」であると理解されてきたからだ。
しかし、東アジアの急成長とともに、世界の経済地図は変わった。沖縄の位置付けも変わった。今度は東アジアに通じる表玄関として沖縄の活用が始まるのである。そのためのインフラが沖縄GIXである。
大きな転換期に差し掛かっていることが実感できた。