主催:金融デジタルサイネージ活用研究会
場所:東京・品川・NECブロードバンドソリューションセンター
実は、デジタルサイネージはクラウドの発展と軌を一にして市場が拡大し始めた。これは偶然ではない。クラウドのイメージがはっきりしてくるとともに、クラウドの究極は、情報ネットワークの世界が、情報を入力する端末、情報を処理加工・保管・検索するデータセンター、情報を表示する端末の3つの層が独立し、構造分離する方向に進展している、ということが明確になってきた。3つの層を自由自在につないで情報を転送・交換するのがインターネットの機能で、合計4つの層が独立してそれぞれ発展を遂げ始めた。
入力の部分で重要なのはさまざまな状況を検知するセンサーやRFIDなどの個体・個人識別符号を読み取るシステム、画像や映像から情報を取り込むシステムなどで、それぞれ急速に発展している。通常、クラウドと呼ばれるのが、情報を処理加工・保管・検索するデータセンターで、サーバー、ストレージ、その上で稼働するアプリケーションソフトウェアなどの情報資源を、機能を充実し、さらに、柔軟にこれらの機能をユーザーにレンタルで提供するサービスが発達している。
最後に情報を引き出して画面やプロジェクターに表示する層だが、これは豊富に情報が蓄積し、利用しやすくなったため、インターネットのどこかから情報を引き出して表示するだけでよくなった。その閲覧のしやすさを競うのが、スマートフォンや多機能端末の出現であり、デジタルサイネージの発展である。
まだ、デジタルサイネージは、ネットワークとの連携を必須としないで「電子掲示板」のレベルだが、いずれは、インターネットでどこからでも標的となる地域に特定の時間、企業の告知や広告宣伝、自治体の公告などをデジタルサイネージに表示する、という時代が来るだろう。必要な時に必要な時間借りでメッセージを告知するのである。サイネージの表示板をインターネットを通じてレンタルするというのは、サーバーやストレージを必要に応じてレンタルするというクラウドの考え方そのものだが、そのほうが自前で所有するより安くて効果的な情報告知ができるのである。インターネットがもたらした照準を絞り、標的を絞り込む情報流通の形態である。
新聞、雑誌、テレビ放送のメディアとしての相対価値が衰え、インターネットを利用した新しいメディアの興隆が始まったのである。