ソフトウェア開発、BPO拠点等の設置に関する沖縄の優位性

ソフトウェア開発、BPO拠点等の設置に関する沖縄の優位性

2009年5月19日 東京・麹町・全国都市会館
パネリスト :
株式会社沖縄ソフトウェアセンター 代表取締役社長 南郷 辰洋氏
株式会社外為どっとコム 代表取締役社長 大畑 敏久氏
成都ウィナーソフト有限公司 総裁兼CEO 周 密氏
株式会社レキサス 代表取締役 比屋根 隆氏
司会 : MM総研代表取締役所長 中島 洋
主催 : 沖縄県

 6月11日にオープニングの式典を開いた「沖縄IT津梁(しんりょう)パーク」への企業誘致をめざしたセミナーである。150の定員が開催日2週間前の連休中に申し込み打ち切りという人気だったが、当日は、申し込みを断られた企業関係者も押しかけて、立ち見も出る超満員の中で会は進行した。仲井真弘多知事のあいさつ、勝目和夫観光商工部長のIT津梁パークの紹介の後、パネル討論に移った。討論は総時間が1時間とわずかだったため、それぞれが10分ほどの基調スピーチをした後、司会から補足の質問によって進められた。

 超満員の参加者が最もペンを走らせたのは、成都ウィナーソフトの周総裁が沖縄に拠点を設ける予定だと発言したときである。

 沖縄進出の理由は、「上海のシステム開発コストが上昇し、沖縄でのシステム開発コストとほぼ同水準になったので、開発拠点を沖縄に移したい」と説明した。上海のIT技術者の賃金上昇が急速に上昇しているのは耳に入っていたが、沖縄と同水準になったというのは驚きである。さらに上海の賃金上昇は続いているので、賃金面だけでの中国技術者の活用というのは微妙な状況になっている。

 さらに周総裁の観測では、「中国の経済成長の速度が速いので、いずれ中国はITのリソースを海外に求めざるを得なくなる」というのである。「中国はIT輸出国からIT輸入国への転換が予想され、近代化に先行した日本のソフトウェアやノウハウが基調な輸入資源になるのではないか」と驚愕の主張である。沖縄は日本のIT産業が中国のIT技術者を活用するための中継基地ではなく、日本の情報資源を中国に提供するための中継基地になる、という予測である。

 日本と中国のITをめぐる環境に歴史的転換点が近づいているのか。まだ、大連や成都、西安などではIT技術者の賃金は低水準だというが、北京、上海は日本並みの水準になっている。賃金ではない、機能の相互依存など、新しい関係を確立する時期に来ているのではないか。そう感じさせた貴重な討論会だった。

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