パネリスト:
沖縄クロス・ヘッド・新居昭生社長
レキサス・比屋根隆社長
イーサー・久保田昌人社長
成都ウィナーソフト有限公司・周密総裁
コーディネーター:中島 洋 MM総研所長
主催:インターネットプロバイダー協会
場所:沖縄県うるま市・IT津梁パーク
沖縄県名護市でAPEC・IT閣僚会議が開催されたのに合わせた関連行事として、インターネットプロバイダー協会が開いた「IGF Japan キックオフミーティング in 沖縄」の中に、開催地沖縄のコーナーを設けてもらった。パネリストはいずれも沖縄で活発に事業展開する企業の経営者である。
沖縄クロス・ヘッドはIaaSに相当するクラウドサービスであるCUMOやサイボウズのサービスの一部を事業譲渡を受けて沖縄から発信しているSaaS事業、さらに沖縄から香港に直通のIP回線を契約して「沖縄GIX」のサービスを行っていることなどを紹介し、沖縄が日本のインターネットのアジアへの窓口として極めて重要な価値を持っていることを強調した。
沖縄の注目IT企業であるレキオス社が開発中の新サービスが、日本で初めて「EUのセキュリティ基準」を満たしたので、沖縄拠点でクラウド形式のサービスを始めると発表した。プライバシー保護に対するEU指令は厳格で、現在の日本の個人情報保護法ではEU指令を満たせずに、早晩、日本企業がEU地域で保管する情報を日本に転送することができなくなる可能性が懸念されている。レキオスは「EU指令を満たす適切な保護措置を講じているとして、国際的な第三者認証機関により認証された」という。レキオスではさらにセキュリティソリューションを拡充して日本企業向けにオリジナルクラウドサービスとして展開して行く、という。
イーサーは「沖縄ソフト開発促進事業」を紹介した。クラウド時代には既存の階層構造の情報産業の仕組みが根本から崩れる。その中から新しいビジネスモデルを築くべく沖縄からオープンソフトを基軸にした新しい企業集団を形成しつつある。インターネットの中に膨大に発表されているオープンソフトから、価値のあるものを選びだして組み合わせて効果的にアプリケーションを作成する、という構成である。
さらにインパクトがあったのが成都ウィナーソフトの周総裁の発表だった。中国オフショアとともに、日本のソフトウェアや技術力を中国市場に販売して行くのが、これからの日中のIT貿易の姿だという。日本にアクセスする窓口、中継点として、人材豊富で親中国的な風土である沖縄が最も有望である、という。
コーディネーターの中島からは、「アジア、とりわけ東アジアの経済圏が急速に発展するとともに、その経済発展のインフラとなるインターネットのアジアでの拡充が一段と重要なものになってきた。日本の最西端で、アジアの中心部に最も沖縄は古い時代から船を使って物資の流通を中継して、今日の言葉でいえば流通のHubの役割を果たしてきた。インターネットが国と国を結び、地域と地域を結び、企業と企業を結び、人と人を結ぶ時代になって、再び、情報通信のHubとして沖縄の位置の重要性が浮かび上がっている。沖縄が再びアジア、太平洋をはさんで米国や豪州を加えた国々、地域の経済交流のHub、それを支える情報通信産業のHubとして機能する機会が巡ってきた事が今日の議論で良く理解できたのではないか」と締めくくった。