パネリスト:
自由民主党 衆議院議員 平井たくや氏
民主党 参議院議員 鈴木寛氏
司会:
中島 洋MM総研所長・全国ソフトウェア協同組合連合会会長
全国ソフトウェア協同組合連合会(JASPA)の恒例の賀詞交歓会、今年の記念講演は幹事組合の「グリーンIT協同組合」の発案で、与野党のIT政策に詳しい党幹部に声をかけて日本の情報産業の現状認識、今後の進展の可能性について意見を聞いた。最初から「与党も野党もない」と決めつけたので、「論争」ではなく、建設的な意見交換を期待したが、その通りの興味深い議論になった。
両議員とも情報産業の今後の進展は間違いない、と確信を示しつつ、まだ開拓不足の分野に注力すべきだと指摘した。まず、鈴木寛議員は、ユーザー業界、ユーザー企業などと一体となって高度なシステムに挑戦すべきである、と、今後期待する分野として、農業、医療、教育などを挙げた。昨年の東日本大震災の際に、医療情報が共用されていなかったため、被災地の診療が困難を極めたこと、教育情報が共有化されていなかったために遠隔地に避難した児童生徒の教育が円滑に行われなかったことなどを指摘して、この共通番号化を進めることを強調した。
平井たくや議員は国民ID(共通ID)、サイバーセキリュリティ開発などを日本の情報産業を発展させるべき重点分野に挙げた。国民IDでは、単に社会保険番号と税納入の番号を共通にする、というのではなく、民間領域でも利用できる共通番号にしなければいけないと強調した。民間の新しい大きな情報システム開発の需要が生まれることを強調した。さらに重要事項として挙げたのが他国からのサイバー攻撃からの防御である。サイバーセキュリティのソフトが、日本で開発されたものが少なく、外国製製品に依存していることに危機感を示した。そのための人材開発の投資、研究開発の投資を拡大してゆくべきだし、情報産業界もセキュリティ分野に力を入れてほしいと訴えた。
会場からの質疑応答では、会場から、「専門の技術者を4万人も動員してサイバー攻撃を仕掛けてくる国がある。サイバー攻撃はすでに国を挙げて他国の根幹を攻撃して打撃を与える戦争のレベルに突入している。その防衛のためには防衛用の戦闘機を数機、準備するのと同等の防衛整備が必要で、サイバーセキュリティへの国家の経費は数百億円必要ではないか」との提言があった。
政治的課題には、この短い時間では尽くせないものがあった。提起された問題を具体的に発展させる必要があると感じた。