エコロジーとIT技術の両立~待ったなしの地球環境保護~

エコロジーとIT技術の両立~待ったなしの地球環境保護~

「エコロジーとIT技術の両立~待ったなしの地球環境保護~」
2009年3月12日
主催:那由他会
場所:東京・渋谷レストラン「一品香」
講師:MM総研所長・国際大学教授 中島 洋

 40年以上続いている懇親勉強会だそうだ。三軒茶屋「古都首里」で泡盛を一緒に飲む仲間、ナカヨ通信機の大戸さんの依頼で参加させていただいた。さまざまな異業種の方々とともに情報産業のOBの方、現役の方、また、著名な地元衆議院議員の方も参加されて、熱心な勉強会だった。

 話の内容は、地球の温暖化は、危機的状況に達していること、奇をてらう一部の目立ちたがりの主張にもかかわらず、大気中の炭酸ガスの増加が地球温暖化の数ある原因のうちで飛びぬけて支配的な原因であること、そのために全地球的に行動を起こさなければならないことから始めた。参加している方は多様なので、その点の確認から始めたわけである。

 社会が情報通信システムへの依存度が高まるにつれて、ITが消費する電力量が際立ってきている。日本経済新聞の記事によると現在の趨勢で行けば、2025年には日本国内の電力消費量の25%は情報通信関連で占められるだろうということである。

 そこで、人類的な課題として「グリーンIT」が議論されることになった。「グリーンIT」は2つの意味がある。エネルギー大量消費のIT分野の省電力・省エネルギーの対策が一つである。もう一つは、それほどIT分野のエネルギー消費が増えても、実は、ITによってエネルギーの効率的利用が実現し、また、人間が移動したり、紙資源を多消費してきた仕組みをITを基礎にした効果的仕組みに切り替えることによって劇的にエネルギー消費を削減することができるようになっている、今後その効果は拡大するだろう。

 ITシステム自体の省エネルギー化を意味する「グリーンIT」では仮想化技術によるサーバー稼働の効率化、データセンターに集約することによって効率的な運用を図ること、また処理を集中化したデータセンターの高熱発生を冷却するための河川の冷水の利用などの努力を紹介し、再生エネルギーや雪氷などの自然の冷熱の利用への挑戦などの例を紹介した。

 ITを利用した象徴的な事例が沖縄県那覇市で琉球ジャスコなどと共同で実験が始まった「環境家計簿」の実験である。小売店に保管されている消費者の買い物情報をネットワークを通じて消費者が利用できるように開放して簡単に「家計簿」ができるようにしたものが「ネット家計簿」。その購入商品とその
商品の炭酸ガス発生量の関連表をネットワークを通じて呼び出して自動的に計算し、家庭で購入した商品の炭酸ガス負荷を消費者が簡単に確認できるように発展させたのが「環境家計簿」である。インターネットを通じて散在するデータを自動的に集めてユーザーが利用できるという点ではSaaSの典型的な利用方法である。SaaSが家庭生活の炭酸ガス負荷を「見える化」させる有力な道具になる。現に起こりつつあり、今後、さらに深刻化する環境問題はITなくしては対処できない。

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