東京・浜松町・CIAJ会議室
MM総研代表取締役所長 中島 洋
主催:情報通信ネットワーク産業協会
畏友、ナカヨ通信の大戸一昌氏に誘われて、今年3月に東京・渋谷のレストランで開催した勉強会の内容を拡充し、CIAJの会員の皆さんにお話しした。現在の関心では、ITとエコロジーの関係は2つ。まず、社会の基盤として極めて重要になったITが電力多消費なので、IT自体をいかにグリーン化するか。次いで、ITが社会全体のグリーン化にどれだけ貢献するか。社会のグリーン化へのITの寄与である。
今回の講演では、社会へのITの貢献に時間を割いた。
第一は、アルビン・トフラー氏の予告したとおり、化石エネルギーに頼る人間の移動(通勤)よりも通信手段による情報共有(在宅勤務)の方がいずれはコストが安くなる。収益最大化を目指す企業は、コストが安くなる通信手段による業務遂行形式を選ぶようになる。コストだけではなく、環境負荷低減の観点からも、テレワーク・グループウエア・テレビ会議などが注目される。最近では新型インフルエンザによるパンデミック対策としても、テレビ会議などは急速に普及を始めたようだ。
ものの移動の面でも、運送ロジスティックの効率化が期待できる。ASPやSaaSのサービスで、運送経路の効率化や積載方法の効率化などに焦点を絞ったものがでてきた。高度な数学のロジックが使われているようだ。
第二は、これもかねて追求されている「ペーパーレスオフィス」の効果である。ITを導入した仕組みによって、オフィス資料の低減(省スペースによる効果もある)、郵送ペーパーの低減(輸送エネルギー削減)、伝票・事務処理ペーパーの低減(森林資源保護)の効果が得られる。
三番目が 「見える化」による国民・消費者、企業経営者・従業員などの意識改革である。沖縄では、琉球イオンなどの協力で買い物した商品から家庭の炭素排出量を推定してみせるSaaS活用の「環境家計簿」の実験(座長は中島洋)が行われている。また企業でも「見える化」を進めてゆく「環境会計」の
充実がIT利用で図られるだろう。CSR会計として義務化も進展するし、いずれは炭素税とリンクして、企業の収益を左右する事項になるが、ITによる「見える化」で、実態が把握しやすくなるだろう。