クラウドが産業界に与えるインパクト

クラウドが産業界に与えるインパクト

東京・芝公園・能率協会ビル
主催:IT協会国際社会経済研究所監修
講師:中島 洋・MM総研所長

 企業情報化協会(IT協会)が急きょ立ち上げた、「クラウドコンピューティング研究会」の第一回の講師を引き受けた。研究会を企画した前沢孝夫NTTコミュニケーションズ取締役によると、「ベンダーの立場からではなく、ユーザーの立場から勉強をしたい」ということで、合計で25社ほどの企業の情報システム担当の幹部が参加していた。

 進行役は元日経コンピュータ編集長で、現在はインプレスグループ会社の取締役で「ITリーダーズ」編集長である田口潤氏である。問題提起、質疑応答など、ユーモアを交えての座の盛り上げ方は見事だった。

 「クラウドが産業界に与えるインパクト」では、クラウドコンピューティングがユーザー企業に提供するメリットを点検しながら、特に、「新しいビジネスの創造」「新しい経営の仕組みの構築」の道具を提供してくれている、という点を強調した。

 クラウドそのものの概念の御明確化、ビジネス化は米国企業が提供した。以前の情報革命時にも同じだったが、日本企業は、それをユーザーとして利用し、新産業を生み出してきた。セブン-イレブンのビジネスモデルは最先端のネットワークを基盤に超分散店舗を効率良く運営し、売れ筋を逃さず、新需要を発掘することで全く新しいものとして発展させた。ヤマト運輸の翌日配達もネットワークを基盤に、翌日配達できなかったルートを発見し、改善することで翌日配達を全国まで拡大した。日本で発達した「ZDc(ミス撲滅)運動」をネットワークで発展させて新しい産業、新しい市場を創造した。花王は当時最前線の技術やサービスであったCTI(コンピューター・テレフォニ―・インテグレーション)と着信側課金の新システムを利用して消費者から商品に対する苦情、不満を集め、データベースに蓄積し、これを分析することによってニーズを発掘、新商品開発に生かし、驚異的な長期間の増収増益を達成した。

 クラウドコンピューティングは新しい情報革命である。ユーザー企業に強力な新しい情報通信の道具を提供する。これで新産業創造、新ビジネス創造を達成することを期待したい。

最近の講演

中島情報文化研究所 > 講演情報 > クラウドが産業界に与えるインパクト