東京国際フォーラム
NECネッツエスアイCustomer's Fair 2010
基調講演:MM総研代表取締役所長 中島洋
主催:NECネッツエスアイ
クラウドは時代の大きな要請の中でこそ生きてくる。日本の企業にとっての焦眉の急は「巨大化する中国と新たにどう付き合うか」である。日本復活のバネにクラウドは強力な道具になるのではないか。中国については、従来の「中国オフショア」というような安い労働力を借用するという「上から目線」では時代を誤るに違いない。中国はすでに「巨大市場」で、製品やサービスを購入する「お客様」である。日本企業がアジア市場に事業展開するサポートの道具としてクラウドの整備が急務である。
たとえば、日本からアジア事業所を「見える化」する各種の仕組みの構築である。日本で培った高度な製造技術を適用する際に、そのソフトウェアを無断でコピーされないために、クラウドとシンクライアントの組み合わせで情報資源を守る方法も考えられるのではないか 。
クラウドはコンピューターとネットワークの発達によって、情報システムがユーティリティ化することでもある。水道や電気のように情報取得の蛇口(コンセント)が身近にあって、簡単に情報通信技術を利用できる 仕組みのことである。
そのメリットは、まず、低コストだ。多数のユーザーが割り勘で共用するので低料金が可能になる。次にシステム構築の容易さが挙げられる。多数のソフトや関連サービスをシステム連携の技術によってインターネット経由で利用で
きる。新しいビジネスを立ち上げる際には、その管理の仕組みを簡単に作成できるので、起業の支援にも役立つだろう。
大きなパラダイムシフトを起こすのは、「所有から利用へ」の経営の考え方の転換である。ネット通じ情報資源(ソフト・ストレージ・回線など)を随時利用できるので、レンタルでサービスを受けられる。ユーザーは利用した時間だけ料金を負担すれば良い。利用端末数やライセンス数は必要に応じて機動的に増減できるので、無駄が少ない。
それぞれの利用コストが下がるので、中小企業だけでなく、大企業の部門でも手軽に利用できる。業界共通、業務共通ソフトウェア・コンテンツを低料金で共用できる環境が整うだろう。また、地球環境負荷軽減支援にも大きな威力を発揮する。クラウドによる社会の仕組みのグリーン化の側面(グリーン・バイ・ICT)と個別サーバーよりサーバー統合、共用による負荷軽減ができるクラウドのメリットも挙げられる。
ネッツエスアイのユーザー企業の情報システム関係者や経営者には熱心に聞いていただいた。採用が始まるのはこれからである。