ビック東海のデータセンターの特徴
2010年06月08日
静岡県ソフトウェア事業協同組合
場所:静岡県・ビック東海データセンター
開催場所となったビック東海のこのセンターは、筆者が審査員長を務めている「データセンターアワード」の09年度地域特別賞の受賞対象データセンターである。東海地区と言う、大地震が予想される地域に立地しながら、各種の震災対策を施している点が特徴で、今回は、静岡県ソフトウェア事業協同組合の視察に伴う意見交換会で、視察終了後、センターの担当者や協同組合のメンバーにこのセンターの評価を行った。
最大の特色は、免震構造である。プラスチック強化のゴム製の土台の脚の上にビル全体が乗っている点は、他の免震構造をもつデータセンターと共通だが、ここでは左右上下、斜めの4方向の地震波に対して振動を逃す構造になっているようだ。NTTファシリティ社の技術のようだ。
さらにビック東海独自の工夫もある。ビック東海は元々は東海地区にエネルギーを供給するガス会社だが、情報サービス事業にも手を広げて、CATV、インターネットサービス、そしてこのデータセンター事業へと乗り出している。その情報サービス事業の基幹となるのが光ファイバー網である。東は北関東から、西は岐阜に至るまで自前の光ファイバーを設置して、ネットワークはループ状になっている。1か所が断線しても反対回りで通信が可能で、データセンターの建物自体だけではなく、回線構造も自前で冗長化を行っている。審査会でも、この点が高い評価を受けていた。
ただ、地球温暖化の問題が大きく浮上する前の設計のため、エネルギーの利用率向上や自然エネルギーの採用などは、まだ遅れている。今後はその発想からの改善の必要があるだろう、と指摘した。