第4の情報革命の衝撃 ここまできたクラウド最前線

第4の情報革命の衝撃 ここまできたクラウド最前線

■講師:中島 洋 MM総研所長
■主催:OCC(沖縄最大の情報サービス企業)
■実施日:2010年11月12日
■場所:那覇市・沖縄県立博物館

 沖縄の情報関係者を集めてのセミナーである。クラウド情報拠点としての沖縄の可能性を俎上に載せてみた。沖縄にデータセンターを建設する際に忘れてはならないのは、沖縄に配置を進める「GIX(グローバル・インターネット・エクスチェンジ)」との関連である。長らく沖縄を「IT拠点」にと主張してきたが、従来の10年とは根本的に意味が変わったのである。従来は日本の大都市圏とは遠く離れている事を生かして、DRやBCPの拠点に、と呼びかけてきたが、ここ1年で、アジアへの事業展開の「要」としての「沖縄」が最も重要な訴求ポイントになった。

 つまり、沖縄は日本の辺境にある「情報拠点」からアジアに向けた最前線の「情報拠点」へと変質したのである。日本の法律が通じる点では、日本企業にとっては東アジア地域中で最も安全・安心な「情報拠点」として再評価できる。もちろん、日本企業だけではなく、セキュリティの堅牢な地域、ということで、欧米企業、アジア企業にとっても大切な情報を預かるにはふさわしい重要拠点となったのである。

 再度、強調すると、日本企業にとっての沖縄は「アジアに事業展開する日本企業の事業拠点となり、また情報拠点になる」ということである。そのメリットは距離的に日本の中で最もアジアに近いことである。また、中国、アジア各地域に比べて、日本の情報保護の厳格ルールが通じる沖縄は情報保護の面でも抜群に魅力がある。

 欧米企業にも中国より沖縄の方が安全である、と判断した事例がある。米国大手決済会社のT-SYSは情報基地を上海から沖縄に変更した。日本企業でも、クラウド型で日本国内に設置したサーバーにソフトウェアを収容し、現地はデータ、ソフトを残さないシンクライアント端末で運用するという事例もある。

 それにしても鍵を握るのは高速通信回線を拡充させることである。IP回線を那覇と香港で結んで11月から「GIX」の運用が始まった。沖縄起点の中国、台湾、フィリピン、インドネシアへの高速回線建設の構築が視野に入って来た。こうしたインフラを拡充して、IT立県=沖縄を一層、発展させてほしい。

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