アジアのITセンター・災害対応拠点「沖縄」 ~~日本経済復興の視点

アジアのITセンター・災害対応拠点「沖縄」 ~~日本経済復興の視点

 この討論を企画したのは昨年末。その頃の筆者の考えは、沖縄を「急成長するアジア地域で日本産業界が活動する情報拠点」として発展させる、というものだった。実際にそのように考えて沖縄の情報拠点を活用する企業がいくつか出始めていた。たとえば、製菓大手のカルビーや中堅の安藤証券、ソニーグループのロジスティック会社「ソニー・サプライチェーン・ソリューション」などである。

 しかし、開催時期が延びて、大震災後になってしまったので、テーマには「DR(ディザスタ-・リカバリー)拠点」としての沖縄、「BCP(ビジネス・コンティニュイティ・プログラム)拠点」としての沖縄、という喫緊の問題が加わった。この点に最も強い意識を持っていたのは安藤証券の安藤社長だった。

 現在、安藤社長はフィリピンやアジア諸地域の証券市場を有望なマーケットとして事業展開を研究中で、その意味でもアジアへの玄関口としての沖縄に大きな意義を感じているが、この討論では、災害対応策の重要性、本土から遠隔にあるために同時被災を避けられるメリットとして沖縄は重要である、というポイントだった。

 沖縄には、首都圏地域の電力不足が深刻になってから、本土のデータセンターから多数の問い合わせが来ている。沖縄県庁が把握しているだけで100件を超えるという。バックアップとして、さらに移転候補として可能性を探ってきている。これとは別に、外資系金融機関が多数、安藤証券の沖縄データセンターの視察を申し込んできているのだそうだ。福島原発の事故で首都圏周辺のリスクを回避しようといち早く動き出した外資系金融機関が、オフィスを関西に移転するとともに、後方支援システムであるデータセンターはさらに遠隔地で、かつ、原発がないということで、沖縄移転を検討し始めている。

 遠隔地であるということに加えて、原発がないという沖縄の新しいメリット
が議論の中の重要な論点になった。

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