川崎日経塾in大手町 対談「いま気になること」

川崎日経塾in大手町 対談「いま気になること」

 元グーグル日本法人・社長の村上憲郎さんとの公開対談である。日本DECの部長だった村上さんと会ったのは30数年前。意気投合して、その後は暇があれば仲間も交えて酒を飲み、技術の流れを論じ、政治を批判し、日本の行く末に自信を持ったり慨嘆したりと、意見を交わすことが多かった。居酒屋で漫談風に二人のやり取りを聞いていた日経のイベント担当者が、その対談を日経の読者サービスの一環として公開の場でやってほしいと頼まれて気楽に引き受けてしまった。2週間ほど前に告知すると、定員150人の会場で、2日ほどで申し込みが200人を超えて受付打ち切りになってしまった。

 そのことをV-CUBEというWeb会議システムのSaaSによるサービス会社の人間に話したら、セミナーのシステムがあるから、無償で提供するので参加できない人向けに、利用したら良い、という有難い話。直前のことで、ようやく中継が決まったが、告知の手段がない。ここでツイッターで「オンラインでセミナーがライブ中継される」とつぶやいたら、結局、47人の方がオンラインで聴講したそうだ。

 ツイッターで告知したのが開催前3時間ほどだったが、よく、アクセスする人が47人いたものだと感心した。

 対談では、今では、英会話術のベスセラー本の著者としても知られるが、実は村上憲郎さんはコンピューターの豊富な技術知識をもつ得難いビジネスマンだったことを紹介した。米国に5年間駐在していた時代には、筆者が日本経済新聞記者としてDECの創業者、ケン・オルセン社長にインタビューした際に、通訳を買って出てくれた。ところが、実は英語の発音は「カタカナ英語」で、びっくりした、もっとびっくりしたのは、それで実に見事に通じたことである。ただし、英語を聞き分け、理解する能力はしっかりしていて、それが英会話術のコツであることを実感したのだが、その付近のことをやりとりすると、会場に来ていた皆さんは熱心にメモをとっていた。

 スマートグリッド、自然エネルギー、日本の産業の競争力回復の手だてなどの問題を語り合って、最後に互いが抱えている難病の話を加えて終わった。夜、9時に終了後、村上さんやスタッフと一緒に、行きつけの三軒茶屋の沖縄料理店に行くと、オンライン中継をパソコンで見ていたというお客さんがいて、十分に楽しめたと評価をいただいた。日経新聞の読者サービスのイベント担当者は、今回のセミナーサービスのSaaSを気に入って、今度は事前に十分に告知して利用してみると、ここでも新しい潮流を起こせたか、と村上さんと納得したしだい。

最近の講演

中島情報文化研究所 > 講演情報 > 川崎日経塾in大手町 対談「いま気になること」