内田洋行の情報事業部門のパートナー総会に合わせたフォーラムだった。内田洋行のような旧オフコン時代のソフトウェア資産を抱えたパートナーは、クラウド時代にどのようにビジネスを展開すべきなのか。ユーザーである中堅中小企業が抱える経営課題を考えながら、システムディーラーの今後の進むべき道のヒントを探った。
ちょうど、開催日の朝、日本経済新聞が「日立と三菱重工の経営統合」の特報を伝えた。まだ、最終決定に至っていないので、今後、どのような展開になるかは分らないが、こうした大統合を検討せざるを得ないほど、経済環境、市場環境は激変を遂げているという証左である。準備した講演資料にはない話題を取り上げて、容易ならざる状況に我々が直面していることを、まず、強調した。
特に世界の市場環境、経営環境を激変させるきっかけになったのは、もちろん、リーマンショックである。欧米経済の衰弱とアジア地域の勃興という好対照の事態が発展して、世界の経済地図は一気に塗り替えられつつある。オフショアとしてアジア、とりわけ、中国を労働資源の供給源と考えてきた状況は大きく変化しつつあって、市場としてのアジア、中国という考えで日本の中堅企業、中小企業も経営を展開しなければならないだろう。それを支えるのは、クラウドでソフトウェアを提供する仕組みである。日本で育んだ経営の仕組みを基礎にアジア市場に乗り出してゆく中堅、中小企業を支援してゆくのがシステムディーラーの新たな役割である。
また、4-6月期の決算速報をみると、ソニーと任天堂の業績悪化が顕著になった。東日本大震災の影響で、ゲームどころではなくなった、という解説が新聞には載っていたが、ややピンボケな理解である。同じゲームでも、グリーやモバゲーは急成長している。ケータイやスマホでゲームを楽しむように市場が変化しているのである。ゲーム専用機を購入しなくなったのである。ケータイが普及して、財布の中身の奪い合いから漫画雑誌が衰えたが、さらに性能の
高度化、スマホ・クラウド化、高速ネットの普及でゲーム専用機の市場が奪われつつある、というのが実態ではないか。クラウド化、スマホ普及、タブレット端末普及では、もう一つ、パソコンという市場も危機にさらされる。
安くて使いやすい端末で、高度なソフトウェアはクラウドで利用する、という方法で、中堅、中小企業は情報システムを安く、手軽に利用できる環境が整っている。これをナビゲーションするのが、システムディーラーの新たな役割ではないか。