「情報への即応で未来をつかめ~最新ICT動向と経営の変革~」
中島 洋(MM総研所長)
主催:内田洋行
実施日:2012年10月4日
場所:東京・明治記念館
最近の講演のポイントは①クラウド進展からビッグデータ、②スマート端末の急速な普及、③電力とITの融合~~の3つである。このうち、この日を「ビッグデータ」を考えてみた。
大量のデータの処理は、コンピューターの古くからの機能である。今さら、「ビッグデータ」もないものだと思うが、名前をわざわざ付けるのは、それなりに意味が変わってきたからである。アマゾンで始まったリコメンデーションの機能やグーグルでは当たり前のようになっている順位づけなどは、多数のユーザーが何気なく利用している大量のデータからシステムが「解釈」し、情報としてユーザーに投げ返すようになっている。単に大量のデータを処理しましたというのではなく、ユーザーの意図とは別に、意味を持った情報に集計・加工してくれる。
多数の自動車の走行メーターを収集して渋滞している道路、流れの良い道路、あるいは不通の区間を判断できるようにし、また、凍結しているカーブなども察知してくれるのもそれぞれのユーザーが発信するデータを集計して意味を持たせ、また、ユーザーに返してくる。単に膨大な情報を処理する、というよりも、ユーザーの行動が集合して別の意味を持つようになるという事態の事を指している。
しかし、さらに、膨大なデータから意味を読みとる、というのも、さらに進化しつつある。あるものについての膨大な情報を繰り返し与えていると、そのものが何であるかを認識する、というシステムが登場しつつある。グーグルが今年夏に発表したところによると、「猫」に関連するデータを(猫のデータであることを伏せて)あれこれ与えていると、ついに、コンピューターが「これは猫だ」と認識したというのである。膨大なデータから意味を読み取る能力が質的に一段、飛躍したのである。
これをどのようにビジネスに応用するのか。新しい知恵の競い合いの時代が来る。