「パラダイムの大変革を引き起こす~~情報産業最新事情~~」
中島 洋(全国ソフトウェア協同組合連合会会長)
主催:東京システムハウス
実施日:2012年10月16日
場所:東京・品川 東京コンファレンスセンター・品川
元気の良い中堅のソフトウェア会社「東京システムハウス」のセミナーである。レガシーシステムからオープンシステムへのマイグレーションで実力あるソフトウェア会社で、そうした必要を抱える大企業や中堅企業の情報システム部門の関係者を対象にしたイベントだった。といっても、筆者はそうしたマイグレーションには深い知識がないので、依頼されたのは情報分野の今後の展望についてである。
まず、現在、注目しなければならない必須事項として「クラウド進展からビッグデータ」、「スマート端末の急速な普及」について簡単に概説した後、もう一つ、見逃せない「電力とITの融合」について詳しく述べた。 半導体による電子革命は、まず、コンピューターをトランジスタからICに変え、テレビやエアコンなどの家電製品、自動車などを知能化させ、電話や通信をアナログ信号からデジタル信号に変え、さらにテレビ放送をデジタル化してITと融合させた。この場合は半導体が高集積化を進めて高いコンピューター機能をもつ微細な部品に進化して、あらゆるものをインターネットに融合させてきたものだ。
そのめどがついた現在、次の融合のターゲットになっているのが電力、エネルギーで、電子革命の延長線上にあるものだ。当然ながら、インフラの構造を揺るがす巨大な新技術が導入されると、既存のインフラ産業は根底から変容するので、従来の産業構造は編成され直されなければならない。通信でも市場開放が行なわれ、競争状況が生まれた。テレビ放送もインターネットによって再編成が進行中である。電力を軸にしたエネルギー分野もまさにその再編成の目前にある。
電力再編成やエネルギー改革は、情報技術を預かる関係者として、他人事ではなく、これから当事者として問題のど真ん中に引きずり込まれる。各企業にとっては、新しいビジネス機会を提供する成長市場になる。心して研究し始める必要がある。