Web2.0時代の企業情報システムの将来像-進化するITパラダイムの捉え方-

Web2.0時代の企業情報システムの将来像-進化するITパラダイムの捉え方-

日時:2007年6月8日
主催:企業情報化協会
場所:東京・芝公園・能率協会ビル
講師:中島 洋・MM総研代表取締役所長


 「Web2.0」がキーワードになっているので、主催者の注文に「Web2.0時代」という修飾語が被せてあるケースが多く、弁士としてはいささか面倒なのが正直なところである。受講する側では「Web2.0」がどういうものか、具体的なイメージを持って帰りたいと期待して出席してくるのである。とりわけ経営トップからは「わが社のWeb2.0対応施策はどうなっているのか」という宿題をもらって悪戦苦闘している向きには、お気の毒な時勢である。


 本セミナーでも、主催者が「どうも分かりにくい『Web2.0』のコンセプトを本日は中島先生の名解説ですっきりさせてお帰りください」と期待に輪をかける挨拶をしていただいたので、これはもう、すっきりさせていただくほかない、と、「Web2.0」の理解のポイントに時間を割いて話させてもらった。


 講師の理解するところでは、「Web2.0」とは、実は明確な定義を決めて話題になったのではなく、インターネットの商用化から10年の2005年ころから、どうもスタート時点のインターネットとは随分、質的に全く異なる利用方法が普及してきた、として、インターネットのリーダー役の一人、ティム・オライリー氏がさまざまな最近のインターネットの特色を抽出して、これを「Web2.0」と名づけた、こういうことだった。


 オライリー氏は7つの特色を挙げているが、それには技術的な側面、ビジネス的な側面、ユーザーが参加することで出来上がった新しい社会システムのようなものなど、必ずしも脈絡があるとはいえないので統一的に理解するのは難しい。その根底にあるのは、情報処理技術がこの間に100倍以上の性能向上を遂げ、ネットワークはさらに1000倍以上の機能向上を達成したので、インターネットは使い易くなり、その結果、ユーザー層が飛躍的に広がったことは指摘できる。「Web2.0」時代というのは、こういう情報処理技術が進展し、ネットワークが進展して新しいサービスが多数登場した時代の中で、どのように経営者がこれを事業展開、企業運営に利用できるかどうか、そこで経営力の差ができるということだ。


 ところで、今年3月の「日経情報ストラテジ」誌のCIOアンケート調査で、「ITの投資重点項目」では、過去2~3年における投資重点項目、今後2~3年のIT投資重点項目のランキングを作成したが、「経営層意思決定支援(BI=ビジネスインテリジェンス)」は過去については15項目中14位だったが、今後については5位、と急浮上しつつある。情報処理技術、ネットワークの進展で経営者の意思決定に役立つ情報は経営者が理解しやすいビジュアルな形に編集して提供される条件が整った。また、次の課題としての「事業継続計画(BCP=ビジネスコミュニティプラン)」も次第に注目されるようになってきた。従来の「Web2.0」議論では、こうした側面には議論が広がっていないが、「Web2.0」が、IT活用を巡る企業環境が急激に変化したことも意味しているとすれば、こうした点に注目することも、情報システムの責任者としては重要なことではないか。

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