ココロを癒せば会社は伸びる
2007年08月16日
川西由美子(EAP総研代表取締役社長)著
1400円+税
ダイヤモンド社、2004年5月27日発行
ちょっと古い本だったが、参考になるのでご紹介しましょう。
我が古巣の新聞社も異常なくらいにストレスが蓄積する世界だったが、情報産業界で働く環境もまたすさまじい。その中で精神を健全に(なんとか健全といわれる範囲内に)保とうと思えば、意識して対策を講じなければならない。
仕事の中に生活の楽しさを混在させる「ワークライフバランス」の追求も一つの便法だろう。企業が心がけるべき未来経営の道筋である。しかし、そんなに先ではなく、足元から取り組める組織的解決法もある。それが「メンタルヘルスケア」である。メンタル・ヘルス・ケアと分けて表記したほうが理解しやす
いだろう。心の健全さを回復する手当てである。情報産業の世界で活動していると精神に偏りが出てきがちである。それを放置しておくと体調を崩して病に陥り、その延長線上に自殺や犯罪などの非日常的行動へと至ることもある。
本書はそうしたストレスが引き起こす影響を具体的な事例に基づいて描き出すとともに、そうした兆候を早期に発見し、その状況を緩和するための対策を紹介し、また、そうならないための予防的な方策を具体的に提示してくれる。
若者が嫌い始めたように、情報産業の現場は、実際に「3K」だとか「7K」と言われるような現状だし、それはまたストレスを大量に溜め込む環境でもある。こういう場所に若者に来てくれとお願いするのも忍びない。そうした職場を改善するためには行わなければならないことはたくさんある。
身近にある、その第一歩が「メンタルヘルスケア」である、と、確信したしだいである。情報産業の経営者、幹部は読むべし。