編集長が推す「このセミナー」
2007年11月12日
主催:IT協会
場所:沖縄県那覇市・パシフィックホテル沖縄
特別講演 MM総研代表取締役所長 中島洋
国内企業の情報システム部門にとって緊急の課題として浮上しつつある情報システムの災害対策を沖縄で解決する道がある――沖縄県には早くからデータセンターが構築されてきたが、いま、事業継続を取引先に保証する「BCP・BPM」の前提条件としてそのデータセンターが「DR(ディザスターリカバリー)」サイトとしてこれらのデータセンターが注目されている。今回のセミナーは沖縄県が後援して、企業情報化協会が主催した。
沖縄県「IT津梁(しんりょう)パーク構想検討委員会」座長として沖縄県のIT産業振興を担っている筆者が、まず基調講演でIT産業にとっての沖縄の魅力を紹介した。
その主張は、①IT産業を振興するために沖縄が打ち出している優遇策が行い、②沖縄の自然や環境が緊張度の高い情報技術従事者の神経を癒す効果がある、③沖縄には花粉症がないなど健康を維持・回復するのに優れた地域である、④内地の企業の社員にとってライフ・ワーク・バランスを追求できる挑戦の場所である、⑤若年労働者の失業率が高く、従って、訓練すれば戦力になる人材が豊富である――という点にあるが、さらに、DRの見地からは、東京から1600キロメートル離れている物理的な距離によって、同時被災を免れる利点があることが強調された。
また、経済産業省が重視する「地震係数」(大地震の発生可能性を数値化した係数)では0.7と日本全国で最も安全な場所とされている。これを元に経済産業省は同省のバックアップセンターを今年3月に沖縄に構築した。
また、講師の主張では、企業の社会的責任の変遷の中で、公害防止、消費者への安全対策、従業員への責務などと次第に対象とされる範囲が広がってきた。その対象が投資家まで広がってきたのが日本版SOX法(金融商品取引法)だが、その「内部統制」の考えの中に、次の社会的責任の対象は「事業継続性」であることが明確に示されている。また、それと付随して情報システムの継続性が要求されている。つまり、情報セキュリティーとDRとが、急速にクローズアップされるのは疑いがない、ということである。企業の情報投資は次はDRに向かわなければならない。自前で行うには限界がある。データセンターの役割は大きくなった。