編集長が推す「このセミナー」
沖縄経済特区セミナー「沖縄進出~新しいビジネススタイルへの道~」
日時:2007年11月22日
主催:沖縄県
場所:沖縄県名護市万国津梁館
特別講演 MM総研代表取締役所長 中島洋
沖縄県が経済特区地域に県外企業を誘致するために開催しているセミナーでの基調講演である。沖縄県の経済特区は現在、3つある。製造業対象の自由貿易特区、金融業界対象の金融特区、情報産業を誘致する情報特区である。今回の参加企業30数社は、それぞれの特区に興味をもつ業種に属する企業の幹部だった。講師に対する沖縄県の要望は、沖縄県の魅力と課題を伝えて欲しいということだった。
そこで、まず、進出企業が最も気にするコスト面の安さから説明した。首都圏に比べればどこの地域でも総体的にコストは安いのだが、沖縄県では、とりわけ、物価水準が低く、それに連動して土地代が安く、オフィスや工場施設の賃借費が安く、さらに内地から転勤してくる幹部や従業員の宿舎が安い。食材費は種類にもよるが、県内の産物を使うのに慣れれば、首都圏の0.5~0.7倍程度で生活できる。そのほかに、いくつかの自治体では内閣府の助成を受けて建設した施設があり、この自治体提供施設には極端に格安のものもある。税制上の優遇もあるので、これを利用すれば、非常に有利な事業展開ができる。
あまり強調すると地元の反発を受けるが、事実として比較すれば、沖縄の賃金水準の相対的低さもまた内地の企業にとっては魅力である。既に進出している企業のすべてがこの点を指摘する。仕事の内容にもよるが、首都圏の0.7倍程度である。ただし人件費の安さを露骨に求めたために、初期のコールセンター企業では給料が安いのに仕事内容が厳しい職場として敬遠するムードが広がった経緯もある。
もっと魅力的なのは、若い労働力や女性労働力の豊富さである。首都圏周辺や近畿の一部を除けば、日本全国でまれな人口増加県である。自然増もあるが、温暖な気候を求めて転入してくる人口も多い。そうした結果、失業率が高く、完全失業率が全国平均4.1%なのに対して沖縄は7.7%もある。特に世帯主と一緒に暮らす「同居家族」の失業率では全国平均7.1%に対して沖縄は16.0%もある。
さらに特徴的なのは女性の労働意欲の強さである。全国でも離婚率の高さは随一だが、女性の社会進出意欲が旺盛なことと無縁ではないだろう。おまけに主婦層は高学歴で、英語・中国語などの語学力堪能なのは、全国他の地域にはない特色だろう。アジアのBPOセンターなどを目指すには、活用できる特色だろう。知識習得への真面目さも進出企業が一様にメリットに挙げる点で、労働力を求める企業にとってはよく検討する価値がある。