ウェブを変える10の破壊的トレンド

ウェブを変える10の破壊的トレンド

編集長が推す「この一冊」
「ウェブを変える10の破壊的トレンド」
渡辺弘美著
1600円+税
ソフトバンク クリエイティブ社、2007年12月25日発行

 インターネットが一般に開放されてから10年余、その世界が明らかに変質しつつある、という認識が「Web2.0」という形で整理されたが、著者の渡辺氏は別のアングルから、インターネットがさまざまな道具を提供したことによって既存の経済社会の幅広い分野に「主役交代」の衝撃を与えつつあることを整理している。今日のインターネットの能力を理解する上で、手ごろな著書である。

 既存の社会の従来の優良なビジネスやサービスが、全く違うタイプの技術革新によって行き詰まらせられる。そして、主役交代を迫られる状況を、渡辺氏は、90年代後半に米国のクレイトン・クリステンセン教授が名著「テクノロジーのジレンマ」で提唱した「破壊的」という概念を借用して「破壊的トレンド」と名づけている。

 その10のトレンドは
(1)「ダイレクト=ユーザーを直接つかみ、ロックインする」
(2)「フリー=選択経済時代のビジネス」
(3)「クラウドソーシング=みんなの知恵を利用する」
(4)「プレゼンス=リアルタイムな情報を生かす」
(5)「ウェブ・オリエンテッド=すべてのサービスをウェブ上で提供できるか」
(6)「バーチャル&リアル=仮想は非現実にあらず」
(7)「ビデオ=映画やテレビの行く末は」
(8)「インターフェイス=よりわかりやすく、使いやすく」
(9)「サーチ=ポストグーグルの潮流」
(10)「セマンティック・テクノロジー=意味を理解し始める時代へ」
である。

 筆者には、「Web2.0」での整理よりも、この分類のほうが理解しやすい。将来のトレンドを読む上でも、現在進行のこの大きな流れを理解しておきたい。

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