編集長が推す「このセミナー」
多様に発展するコールセンターの現状と将来
~コンタクトセンターからBPOへ~
2008年6月10日
主催:青森県情報サービス協会
場所:青森市
講師:MM総研代表取締役所長 中島 洋
流通戦略総合研究所代表 岡積 正夫
青森県の地域活性化のためにコールセンターを活用できないか。昨年秋から、青森県庁と地元の情報サービス産業協会との間で検討を進めている。その一環としてコールセンター検討の連続セミナーを開催しており、6月10日はその最終回だった。
中島はコールセンターの市場規模や今後の拡大の見通し、さらにその性格が、電話を中心にしたコールセンターからメールやインターネットのホームページからの問い合わせに対する自動応答も加えたコンタクトセンターに発展し、さらに企業の内部で電話やメールの応答で業務を進めている部門の業務をそのまま受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)へと進展していること、さらに、どのような業務がコンタクトセンターに移管されやすいか、現状と将来動向を概括した。また、青森県の当面のコールセンター業務が青森県庁の業務の外部委託に照準を絞っていることから、全国の自治体の事例の紹介を行った。
岡積代表は流通戦略総合研究所(流通総研)が手がけてきた自治体の行政改革の一環としてコールセンターやコンタクトセンター、BPOの意義があるとして、単純なコールセンター事業の創出ではなく、情報システムを軸にした自治体の業務改革と一体化させる必要性を説いた。特に、新潟県柏崎市、沖縄県宜野湾市、大分県中津市など流通総研が各地の自治体で実践してきた事例を引き合いに出して、自治体業務改革の前提条件として、情報システムの発注の仕様書作りが重要で、仕様書に地元の情報サービス業界が関与できる内容にすることが決め手になる、と強調した。
その際に留意すべきなのは、全国規模の大手ベンダーが持つスキルを活用すること、システム構築後のサポートを地元企業に任せること、役所の内部に若手の担い手を育てること、さらに、施設などは新たに建築するなどという「箱物作り」を避けて、既存の施設の再利用を中心にすること、などを挙げて、中津市ではIT技術者養成専門学校の施設の中に市のデータセンターを持ち込んで、学校教育と一体化させた事例などが紹介された。