企業は社会とともに生きる存在である。「法令順守」はもちろんである。昨今の企業の不祥事をみていると、「法令順守」も見つからなければ良い、見つかったときにはまずいので、見つかる可能性があるものは法令ぎりぎり一杯に守る、というレベルの行動がうかがわれる。法令違反が見つかっても、社長は
まず、代理人に弁明をさせて嘘を並べ立てる。嘘をつき通せなくなると、今度は社長が出てきて「会社思いの部下が会社のために勝手にやったことで自分は知らなかった」と責任逃れの弁明をする。これでは社会はこの企業の存在を認めなくなる。
牛肉や食材の産地偽装や重大な故障・事故の実態・原因隠し、損害保険・生命保険の保険料不払いなど枚挙にいとまがない。発覚してからは社長など経営陣の退陣に発展したケースもある。こうした企業がそのままで生き残るのは難しいし、現に、そのまま破綻に追い込まれた企業もある。
ただ、「法令順守」は当たり前のこと、企業が求められているのは、さらに一歩進んで「品格ある企業」「尊敬される企業」になることである。法令順守できない企業は社会から排除されるが、さらに踏み込んで、法令順守をすればそれでOKというわけではない。法令では認められていても社会通念からしていかがなものか、というケースもしばしばある。排除されない良い企業になるためには、この社会通念から見ても尊敬される社風を造らなければならない。
経営陣がそう努力し、その雰囲気が全社に伝わる、という精神面の努力も重要だが、もっと大切なのは、組織として、体制として、仕組みとして尊敬される振る舞いができるように企業を作り上げることだ。企業が尊敬されるために必要な行動ルールを決め、それが守られているかどうか本人も、同僚も、上司
も、さらに経営陣も必要なときにチェックできるような仕組みを作ることができる。これを内部統制の仕組みという。
本人に自覚させ、違反に対しては仕組みとして本人に警告し、是正したことをチェックするのは情報システムによって自動化できる。内部統制ほど、情報システムと相性のよい仕組みはない。また、実は、そうしてビジネスプロセスをチェックすることが、無駄なビジネスプロセスを発見し、改善するためのきっかけになる。尊敬される企業の仕組みつくりを徹底化してゆくと、効率の良い、収益力の高い企業つくりも実践することになる。