~中堅中小企業への影響~ 「内部統制」は経営をどう変えるか
2008年10月15日
中小企業のための内部統制セミナーで、このテーマは古いが、内容は時代の進行と共に新しくなってゆく。「内部統制」自体もテーマとしては古いのだが、急に注目が集まったのは、日本版SOX法(金融商品取引法)の制定だった。このときには上場企業の会計の正確性の要求が中心だった。上場企業の会計が不正なく行われていることが証明されるためには、外部企業との取引の正しさも証明できなければいけない、ということで、日本版SOX法の影響が中小企業まで波及する、という関わりで内部統制が論じられた。また、新会社法でも、中小企業の内部統制が要求されたが、これは会計というよりも取締役の責任を全うするために、その行動を記録、閲覧できるようにすることが求められている。
これらの内部統制が企業に求めているのは、会計や業務の不正が起きないように監視するだけでなく、業務効率の良いビジネスプロセスに仕組みを変える、ということである。そのためにはITを基礎にした「見える化」が重要だ。不正を防止するための「見える化」は同時に企業の収益力を高めるための業務効率化を実現する。企業が目標にすべきゴールである。
「見える化」が実現した後は、内部統制の目標は会計や日常業務から「環境」に移る。これは人類的課題である。特に洞爺湖サミット以後は、日本が率先して行わなければいけない。政府からは今後、企業活動の中で炭酸ガスを削減する厳しい規制が出てくるだろう。これからの「見える化」のテーマは、自社の製品生産や出荷、さまざまな企業活動、社員の活動などで生じる炭酸ガスをいかに低減するか。ITを駆使して炭酸ガス排出量を計算し、低減するための対策を社会に、取引先に報告しなければならない。そうしなければ尊敬される企業になることはできない。