インターネット広告専業の草分け、サイバーエージェントが沖縄に子会社を設立、この7月ころから事業を開始した。子会社はサイバーエージェント・アドマネジメント。インターネットの検索エンジンの検索結果が上位に表示されるように工夫するSEOのテクニックを指導してゆくサービスのようだ。採用を進めて事業を拡大して、ゆくゆくは100人規模の企業を目指すそうだ。
沖縄ではIT事業の中でも比較的技術的訓練が少なくて済む「コールセンター」の進出が目立っている。要員の引き抜き合戦も過熱して、少し技量が上がると、ライバル会社に移動してしまうケースも一時は目立って、人材市場がやや荒れた印象がある。業態の似通った同一業種だけではなく、幅広いIT企業の進出が強く求められている。こうした時期だけに、新タイプのITベンチャーの進出は大歓迎である。
もちろん、コールセンター以外の進出としては、データセンター(ディザスターリカバリーの拠点として注目されている)やデザインセンター(沖縄人の色彩感覚や音楽感覚の素質が生きる)、ゲームソフト開発拠点、EC運営拠点、物流運営拠点などもある。ただ、コールセンターの圧倒的な雇用力に比べて、他のIT企業のビジネスでは、雇用の面でやや物足りないところがある。
サイバーエージェントの拠点はネット広告のコンサルティングというやや高次のサービスである。継続しているうちにノウハウを吸収してスキルを高めてゆく可能性がある。また、スキルの性質が他の企業とはかなり違うので、技術を習得した社員が他の企業に引き抜かれるというトラブルもそう、多くはないだろう。仕事のイメージもかなり良い。
これまで企業誘致というと、IT分野でもCSKやトランスコスモス、IBM、日立、NEC、富士通、ユニシス、ソニー、日本通運の情報処理部門などというような誰でもが知っている、在来の大手企業の名前がすぐに挙がった。それは沖縄の知名度や信頼度を上げるのに大いに役立ってきた。
しかし、このところ新顔のITベンチャーの名前を良く聞くようになった。サイバードやインデックス、外為ドットコム、さらにサイバーエージェントである。また、ここにきて、グロヴァレックスというような初耳の社名も聞くようになった。特にグロヴァレックスである。「サイトマネージメント」というサービスだが、どうやら、これまでにない新しいタイプのサービスのようだ。
本レポートシリーズでは、時々の話題とともに、これらの新顔企業をじっくり取材して、その実像と今後の展開方向を順次、報告してゆくことにしたい。