ユビキタス特区「環境家計簿」

ユビキタス特区「環境家計簿」

 今月5日(金)、ユビキタス特区事業、環境家計簿「えこ花」の実証実験プロジェクトの発表が、那覇市・国際通りに面したホテル、JALシティで開催された。このプロジェクトはビジネスオンライン(藤井博之社長)が総務省に提案し採択されたもので執行機関として「ASP・SaaS環境家計簿普及促進協議会 in沖縄」を設立、約3年間の実験として那覇市の小売事業者と消費者を対象に行われる。協議会議長には、筆者がMM総研所長、美ら島沖縄大使・中島洋の肩書きで就任した。

 このプロジェクトは、地球環境保全の一環として家庭の炭酸ガス排出量を削減する活動を支援するため、小売事業者から購入した商品が生産過程で炭酸ガスをどれだけ排出したか、その明細をインターネット経由で自宅のパソコンやケータイに送信してもらい、毎日、購入商品の炭酸ガス排出量を把握できるというものである。数値的に把握できれば削減のための商品購入の仕方や生活改善に意欲が出る、というのがこのプロジェクトの狙いである。

 現在、決まっているのは、イオングループの那覇市の店で商品を購入した消費者が、レシート番号を入れるだけで、どういう商品を購入したかメニューと金額のデータがイオンのサーバーから自動転送され、推進会議が管理するサーバーで換算表を元に炭酸ガス量に変換され、消費者はビジネスオンラインのソフトウェア(サーバーに格納)によって電子家計簿の画面として購入した商品の炭酸ガス量を見ることができる。実験期間中はイオン以外の那覇市の小売店から募集して、実験に対応する機能をもつPOSレジを無償で貸与し、この店での購入商品の炭酸ガス排出量も自動計算して電子家計簿の形で把握できる。

 このプロジェクトはビジネスオンラインが総務省から受託した時から藤井社長と同社でこの事業を担当する大橋恵子さんから相談を受けていて、結局、議長を引き受けた。1年半ほど前に「ASP・SaaS普及促進協議会(会長徳田英幸慶応大学教授)」が発足したとき、筆者は副会長に就任し、インターネットをベースにした新しいサービスの普及活動に取り組み始めたが、今回のプロジェクトへの参加もそのSaaS促進と地球環境問題への取り組みの一つである。

 プロジェクトの狙いは2つである。一つはグリーンIT。情報通信技術が地球温暖化を抑止するための活動に強力な道具を与えることを実証する。もう一つはSaaSが個人消費者が手軽にコンピューターソフトウェアを利用するインフラになることを実証する。沖縄の県民の皆さんがどこまで、こうしたプロジェクトに協力してくれるか。特に地球環境問題への意識がどこまで浸透しているか、それを測るプロジェクトとしても注目したい。

 委員の中に、インデックス沖縄の栗田智明社長、ビッグローブの縄田秀人執行役員、三宅良昇寺岡精工取締役らの旧知の方がいたので心強く思い、また、あんびるえつこ生活経済ジャーナリスト、慶利光那覇市役所環境部長、宮城光男那覇商工会議所専務理事、梅本和典イオン執行役・グループIT責任者ら、新しい知人も多数、できそうだ。これも楽しみである。

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