サブプライムショック到達

サブプライムショック到達

 海外への輸出に依拠した製造業の少ないためにサブプライムショックに端を発する経済危機とは縁遠い沖縄だが、世界的なサブプライムショックの大津波の一部とも思える「第一波」が沖縄にも到達してきたようだ。米国や欧州とは違って、直接に沖縄金融業界で大きな損失が発生したわけではない。まだ影響は間接的で軽微だが、その背後にある危機パワーの強さを考えると、注意が必要である。

 沖縄で表面化しているのは、金融危機そのものではなく、世界的な消費不況とクレジットクランチによって沖縄進出を計画していた企業のプロジェクト一時見合わせである。昨年末、表面化したのは、沖縄北部に計画していたホテル建設の断念である。東京の新興ホテル業、A社が北部の海洋療法施設の「かんなタラソ沖縄」に隣接して大型ホテルを建設する計画だった。A社と地元の地主との間では土地に関する同意者を交わしており、昨年内に本契約を結ぶ段取りだったという。

 A社はマンションを手がける急成長中の開発会社で、昨年夏には新興市場に上場、株式公開を実現したばかりだった。急成長の勢いに乗って、海洋療法という特色ある施設と連動し、医療やスポーツをテーマにした「アスリートホテル」の分野へと挑戦したものである。計画では、10数階建て、200室規模のホテルを完成させる予定だった。地域の活性化につながるユニークな事業として地元も期待していた。

 上場したばかりの不動産会社が行き詰まる、というのは、ごく最近では珍しいことではなくなった。昨年1年で10数社の優良と目されていた不動産開発会社が行き詰まったが、多くは「黒字倒産」である。急速な不動産市場の冷え込みで、完成済みのマンションが売れ残って投下資金が回収できるかどうか懸念が出てきた。さらに土地を購入して建設途上の物件を抱えていれば、その物件を完成させるまでの資金のめどさえつかず、前期は黒字でも、今年度は赤字に転落して、資金繰りがつかなくなる恐れがあるとして、金融機関が運転資金さえ、借り換え融資を中止した。黒字のまま、資金繰りがつかないという理由だけで、突然、立ち往生する不動産会社の破綻が続いているのである。

 沖縄でマンションやホテルの建設を進めてきた内地の有力な不動産会社がいくつも行き詰まって破綻したが、その多くは黒字倒産だった。高速に走っていた経済が、サブプライムで突然、壁に衝突したようなものである。

 幸い、沖縄は、輸出産業が少なく、海外市場の冷え込みや円高差損の打撃もないし、経済の主軸をなす観光事業はこの年末年始も「微減」に済んだという。激しい落ち込みを見せる内地の主要産業に比べれば、まだ、経済全体が傷んでいるわけではない。傷口が広がらないうちに次の一手を打っておく必要はあるのだが。

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