「沖縄情報大学」創設への提言

「沖縄情報大学」創設への提言

 今回は、沖縄県への提言である。

 ITを次代の中核産業にするという沖縄の構想について議論するときにどこかに不足を感じてきた。よくよく考えてみると「教育」「研究機関」の欠如である。ネットワーク社会、地球上のどこにいてもネットさえあれば教育は受けられる、自発的学習を実践できる、とは言うものの、やはり優秀な教育者を集めて、若い仲間が同じ空間で私生活も共にしながら知識を身に着け、刺激し合う環境があれば、その効果は絶大である。

 沖縄県は情報特区、自由貿易特区、金融特区などの経済特区を設けているが、顕著に実績を挙げているのはIT産業の誘致に成功している情報特区である。この10年間で200社近い企業誘致が沖縄県に事業所を設けたがこのほとんどがITがらみだった。ただ、その多くはコールセンター、コンタクトセンターで、情報産業の中核となるシステム開発では、まだ、努力の余地がある。

 沖縄は地理的な位置でも、日本の中では中国、台湾、ベトナム、タイ、インドに近く、政策次第ではアジアのソフトウェア開発の中心地の一つとして発展させられる可能性を秘めている。特に気候面では、冬は寒冷となる中国の技術者には魅力で、治安や住みやすさの面で他のアジア地域の技術者や研究者にも十分に魅力的な地域になる。

 ただ、現時点では、システム開発の観点では十分な企業や人材が集積していないので、沖縄に来ても魅力が感じられない、という難点がある。そこで浮上するのが、著名な研究者や技術者を招聘し、また、学生も国内はもとよりmアジア各地域から集め、その環境の中で沖縄の若者に情報技術への関心と知識を提供する「沖縄情報大学」の構想である。

 現在、情報システム開発で早急に進展させる必要性がある分野の一つは「セキュリティ」の分野である。社会の安心・安全・信頼性を高めて健全な高度情報社会を構築してゆくには、多角的にセキュリティの仕組みを開発してゆかなければならないだろう。一般的な情報の知識を教育するだけでなく、特徴ある学部を創設して、斯界の逸材を集めることが沖縄を世界的に注目される地域としてアピールすることにつながるだろう。特定分野に鋭角的に突出した専門に集中する。

 筆者の知るところでは、このセキュリティ分野の関係者の中に「沖縄大好き」な人々がたくさんいる。世界に突出したこれらの専門家を誘致できれば、「沖縄情報大学」の価値は世界に突出できるのではないか。

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