政権交代によって日本の形はどう変わるのか。大きな期待を集めているのが「道州制」の推進である。地方に権限を移譲するというようなレベルではなく、都府県に細かく分割された地方区割りを改め、広域のブロックに再編成して新しい国の形を構築する、というのがその中身である。全国各地ではそれほどの盛り上がりは見えないが、沖縄では違う。9月14日には、2年半の議論を経て、沖縄の政財界人、学識経験者などで組織する「沖縄道州制懇話会」は「沖縄特例州」を目指すべきだという最終結論をまとめ、仲井真弘多今知事や県議会に提出する予定だ。
沖縄を単独州にするという考え方は、政府の道州制の検討会でもほぼ固まっている。民間のシンクタンクや自民党、民主党など政党の道州制検討組織の結論も「単独州」の方向で結論を出している。
当初は「九州道」の中に含めるべきだという意見もあったが、地域的に他の九州7県と大きく離れ、県民性、文化、産業など、全く異なるので、「九州道」では難しいという主張がしだいに本流になった。しかし、人口が日本全体の1%強の136万人しかない沖縄が単独で生きていけるのか、と、単独を危ぶみ、「東京」と一緒になりたいという沖縄県内の「希望」もあった。しかし、どの県も「金満」の東京と一緒になりたいのは同じで、その中で米軍基地問題を抱える沖縄が選ばれる可能性はない。選択肢は「単独」であるという前提で、「それならば沖縄の特殊な状況を考慮した特例州の形を自ら提言しよう」という決意に至ったわけである。
新政権がどのように道州制の議論を進めるか、不透明なところがあるが、その段階で、あるべき姿を県内の意見を集約して打ち出したところに、沖縄の意欲がうかがえる。
特に国境を接する沖縄の地域的特性を考慮して、関税や出入国管理の権限を大幅に移譲することを主張しているのが目を引く。「日本のはずれ」ではなく、「アジアの中心」という位置を視座に置いて、その特例州の内容を、今後、検討してみたい。