3月上旬、衆議院で来年度予算が成立した後、急に前原国土交通大臣が、兼務である内閣府沖縄担当大臣として沖縄を視察した。IT産業集積を目指す「IT津梁(しんりょう)パーク」検討委員会座長として関係した筆者に、前原大臣がパークを視察する際にレクチュアをしてほしいと内閣府に依頼されて、この役を引き受けた。
沖縄の情報通信産業振興政策全般を説明していたところで、スライドに書き込まれた「GIX」の文字について質問があった。何の略称ですか? 「グローバル・インターネット・エクスチェンジの略で、中国やシンガポール、韓国、フィリピンなどと高速通信回線で結んで、沖縄をインターネットの中継基地にしようという狙いで、その中継センターをGIXと呼びます。現在は、香港との間で高速ではない回線が結ばれているだけで、とてもGIXとは呼べない状態ですが」と解説しておいた。
沖縄GIXの構想が県の中で持ち上がったのは数年前のことである。漠然として、東アジアの中心に高速インターネットの中継基地があれば、今後、映像コンテンツが増大する中でアジア-米国間の負担を減らしてアジア域内でのコンテンツ流通が円滑になるだろう、という狙いだった。しかし、その想定以上に中国や東アジアが急速に成長している。経済発展とともにインターネットのデータ量も爆発的に増大する。今度は経済発展のインフラとして、沖縄GIXの必要性が増したのである。特に日本産業界が今後、中国、アジアに事業展開するうえでその重要性は増してくるだろう。
今のところ、沖縄GIXの予算要求は財務省の受け入れるところとなっていないようだ。世界経済地図の大転換に伴って、日本産業界は中国・アジアへ大きく事業展開しなければならない、その重要性が、まだ、財務省には理解ができていないのではないか。このGIX建設の重要性を声を大にして叫ぶ時が来たような気がする。