東京に拠点を置くネットワーク技術会社のクロス・ヘッド社とサイボウズ、それに地元沖縄の有力IT企業インデックス沖縄が共同出資している沖縄クロス・ヘッド社の活動がこのところ活発である。
春先にCUMOというサービスを発表して筆者も説明を受けたが、これまでわが国では前例のないサービスだったので直ちに理解するのは難しかった。最近、CUMO(クーモ)を利用する事例が出てきたので、ようやく、サービス内容が分かってきたような気がする。インターネット上でサーバーやストレージのインフラを提供するIaaSのサービスである。
沖縄に施設はあるが、インターネットを通じてどこからでもこのサービスを利用できる。北海道や東京、大阪、宮崎など、全国どこからでも利用できるし、中国、台湾、東アジア向けにも情報サービス拠点として機能を果たすだろう。
たとえば、SaaSの事業者が、そのソフトウェアをユーザーに提供しようとする。インターネットでクーモを呼び出して画面を見ながら設定をすると、数十分から数時間で、サーバーが立ちあがって、SaaSのサービスを開始できる、というインフラ提供サービスだ。しかもそのサーバーの利用はレンタル方式で柔軟。場合によっては数日間、数週間、一定期間のイベントにも利用できる。まさに、規模、性能、期間など、柔軟に情報資源をインターネットを通じて貸し出してくれる「クラウド」サービスの典型である。
沖縄の利点は高速インターネット回線を直接にアジア向けに伸ばす「GIX(グローバル・インターネット・エクスチェンジ)構想」が動き始めていることだ。地政学的にアジアの中心に近い沖縄は、今後、アジア事業を強化する日本企業にとって、重要な海外事業窓口になる。今日、情報システムの力を借りることは事業展開には絶対不可欠である。その情報ネットワーク拠点をどこに置くか。沖縄が有力な地域になることは論をまたない。その沖縄にクラウドサービスが一早く誕生したことを、ようやく理解できた。CUMOの事業拡大は日本企業のアジア戦略の強力な支援サービスになるだろう。