世の中には偶然があるものだ。因縁というべきか。
10日、先週木曜日に、IPテレビのコンテンツを供給する「ひかりTV」の番組審査委員についての打ち合わせで、番組提供会社のアイキャストの坂東浩二社長(NTTぷらら社長兼務)と会った。美ら島沖縄大使の名刺を渡したら、「おや、沖縄と関係していたのですか」とびっくりしているので、事情を説明した。
坂東社長が「沖縄」に強く反応したのにはわけがある。実は、前日の9日、インフラ側を担当するNTTぷららが「プロゴルファー宮里美香選手と2011年2月1日より3年間の所属契約を締結した」と発表したばかりだった。3月上旬の今年度の幕開けとなる沖縄でのダイキンオーキッドレディストーナメントの後、撮影をする予定だそうで、宮里美香選手の話題、沖縄の話題でひとしきり話が弾んだ。
15日朝から、那覇市で沖縄振興審議会専門委員会が開催され、筆者は前日の14日夜から那覇に入った。東京は大雪だったそうだが、那覇は土砂降り。ホテルにチェックインした後、いつもは国際通りまで夕食を取りに行くのを変更してホテルの周りで飲食店を探した。ホテルから歩いて1分ほどの飲食店ビルの案内板の前に立つと「みかちゃんの店」という家庭料理店があってふらりと入った。大雨のこと、客は一人もなく、中年の店主とご婦人の2人だけだ。
「やってますか」と声をかけると、店主がやりかけていた仕事をしまって、「良いよ」と返してきた。店内を見回すと宮里美香選手が初優勝した時の大きな記事を載せた新聞が4種類、カウンターの横に貼ってある。沖縄タイムズは号外も出したらしい。棚には記念の写真をラベルに貼った泡盛の1升瓶、4合瓶、2升半の大きな瓶などが並んでいる。2升半の瓶は「ますます(升升)はんじょう(半升)」と縁起をかつぐのだそうだ。美香選手のラベルは貼ってなかったが、三軒茶屋の古都首里でも人気の60度の泡盛「どなん」も並んでいる。「美香選手とはどういう関係ですか?」と聞いたら、なんとご両親ということだ。店主は父君の宮里隆さんである。近所にはリサイクルショップも経営し、東京・赤坂には美香さん関係の業務を扱うオフィスもあるが、この飲食店はファンとの集いなどで会食や懇親に使っているようだ。
カウンターの前のスペースや上方の壁にはたくさんの写真が貼ってある。美香選手が知人と並んで撮影したスナップである。目の前にあった写真は、前知事の嘉数昇明那覇空港ターミナルビル社長との写真で、「これは私の親戚筋ですよ」と思わずつぶやくと、やおら携帯電話を取り出して嘉数昇明さんを呼び出した。事の成り行きにびっくりして、電話に出て嘉数さんに失礼をわびた。ボクシングの元世界チャンピオン、具志堅用高選手との写真もある。「高校の先輩後輩だからね」というので思わず、「どこでしたっけ?」と聞くと、「興南高校さあ」という。春夏高校野球連覇だけではなく、たいへんなスポーツ校である。興南高校・比嘉前理事長の奥様の開梨香氏とは沖縄関係の会議でよく一緒になるし、一度、三軒茶屋の古都首里にも来たことがあるので、「比嘉さんも存じ上げています」というと、比嘉前理事長と一緒の写真がたくさん貼ってあった。さらに携帯電話で比嘉前理事長を呼び出したが、今度は出るのを遠慮した。翌日の振興審議会で開氏に会った時に、ご主人に詫びてくださいと伝言した。
さて、美香選手の優勝記念ラベルが貼られたボトルをキープし、同様にラベルが貼られたお土産用の琉球ガラスに入った1合瓶を2つ購入して帰ってきた。ご両親は、タイ、シンガポール、沖縄のダイキンオーキッドと転戦する美香選手の応援で、翌夜から海外旅行だというので、早々と引き揚げてきたが、そのままだと、夜中の2時半の閉店までいてしまいそうな、楽しい店だった。
それにしても沖縄は有名人がすぐそこいら辺にいる、スポーツ芸能の町である。