原発のない沖縄の幸運

原発のない沖縄の幸運

 中部電力浜岡原子力発電所の運転休止は「終わりの始まり」ではないか。原発事故が残した国民大多数の心の傷は予想以上に深い。浜岡のみならず、活断層のすぐ近く、どころか、真上に建設してしまった原発が何基もある。「そのときは分からなかったのだから仕方がない」という呑気な言い訳は今や通じない。活断層がらみの原発はそのまま運転していて大丈夫か? 
地域住民からの原発停止の声が大きくなりそうだ。

  もちろん、原発があるおかげで、地域自治体には特別の補助金が出て、病院や公共施設建設の恩恵を受けているメリットは見逃せない。断固、原発継続を主張する住民や地元業界人の声も根強い。地元自治体の選挙では、原発継続派の勢力が多数を占めることも可能性はなくはない。しかし、いまだに収まらない福島の事故に直面して原発を不安視し、恐怖心まで抱くに至
った国民も少なくない。3月中旬、沖縄に避難してきた被災地の方々の理由は、「沖縄には原発がないから」というものだった。個人差は大きいのだろうが、原発恐怖の感情がそこまで深まった、と事態を深刻に受け止める必要があるだろう。

  さりとて、「原発が怖い住民は引っ越せばよい」と継続派の住民もそこまでは考えないだろうが、原発は地域住民の共同体を引き裂く厄介な種になった。
  一方で、原発休止から廃止へと議論が進展する自治体も出てくるだろう。補助金がななくなるのは地域の財政を苦しめることになるが、確実に近づいている次の大震災を思えば、このまま不安の中に生活できるのか、という思いの方が強まるだろう。特に妊娠中の女性、乳幼児、児童を抱える家庭では、長期的な影響を考えざるを得ない。いったん、何らかのきっかけで放
射能漏れが起きたら、生活はずたずたに破壊される。日本列島はどこでも、そのきっかけとなる地震の巣の上にある。

 沖縄は人口140万人。日本の全人口の1%ちょっと。大きな産業もないので、産業用の電力需要も内地ほどではない。さらに離島も多いので、原発を作れば、原子炉1基で本島の需要をほぼ満たしてしまうだろう。そうなると、原発は使えない。定期的に点検が義務づけられているが、その間は、電力を他の手段でまかなわなければならないので、非効率きわまりない状況に
なる。小型、中型の発電所をあちらこちらに配置する仕組みにならざるを得ない。それがちょうど相互のバックアップの役割も果たす。

  その事情から沖縄には原発もできないし、中型、小型の発電所の追加によって電力供給力を徐々に増加させる仕組みができあがっている。大きな山もないので、基本は石炭火力で、炭酸ガスを排出するので地球環境には甚だよろしくないが、最近ではLNG使用の火力発電所も建設して対応策も徐々にだが進めている。

  沖縄は基地問題という難題を抱えているが、全国でこれから大議論となるであろう、原発問題を抱えていないところは、幸運だったと言えるのだろうか。

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