戻れ! 観光客

戻れ! 観光客

 先週月曜日朝、沖縄に向かうために羽田空港に着くと、いつも利用するJAL便の那覇空港行きが、午前1便、午後1便、欠航の案内が出ていた。予約した飛行機も乗客は3分の1から4分の1程度。乗客が減少しているので、間引きで運行するようになっているのか、と得心がいった。

  那覇空港から乗ったタクシードライバーも、3月の大震災の後はぱったり観光客が減ったし、4月も閑散、ゴールデンウイークで久々ににぎわったが、それでも例年に比べれば7掛け程度かな、と分析していた。そうかと言ってあわてた様子もぼやく様子もなく、「なんくるないさ」の精神で、楽天的に分析して見せてくれたものである。ここは沖縄人の強いところだ。

  「自粛」ムードで国内客の観光意欲にブレーキがかかった上に、原発放射能の風評被害で日本全体に外国からの観光客がぱったり止まった。沖縄は原発とは無縁だが、「日本」というブランドの中で同一の扱いを受けたようだ。アジアの大型クルージング客船は、沖縄の関係者の努力で沖縄寄港の中止を避けられたようだが、団体旅行は中止になった。継続的に増加してき
たアジアからの観光客の拡大も、昨年終盤の「尖閣問題」で中国観光客に影響が出て、それが少し緩んで復調して来たと思ったところで今度は放射能の風評被害である。
 
 それでも2010年度の来県観光客数は571万人と600万人の大台に近づいた。沖縄ツーリストなどの地元のツーリストがチャーター便を飛ばして中国やアジアからの観光客誘致に力を入れてきた努力が着実に実を結んだ。こうした努力を今後も続けてゆき、放射能風評被害も乗り越え、また国内からの旅行客も陽光の明るい沖縄の魅力に取りつかれたリピーター客も確実に増加しているので、海外、国内双方の観光客はいずれ増勢を回復するのは間違いない。しかし、企業は生き物で、一定期間、収入が低迷すれば、観光関連の企業は持ちこたえきれずに破たんすることもある。観光は沖縄の第一の産業。早く観光客に戻ってきてもらいたいものである。

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