日本経済新聞を琉球新聞に印刷委託して毎朝、沖縄の読者に最終版(最新版)を届けられるようになったのは3年前の11月。それまでは東京で印刷し、飛行機で輸送したので、那覇に到着して配達網に乗るのは午後、夕刊と一緒の配達だった。日経新聞朝刊を午後にしか読めないのは、ビジネスマンには致命的な遅れである。
その状況を改善したのは、5年前に就任したばかりの仲井眞現知事である。当時の日経新聞・杉田社長に直談判、「沖縄のビジネスが発展しないのは日経が現地で印刷してくれないからだ」とねじ込んだ。その結果、杉田社長は自分の在任中に沖縄印刷を実現すると決断、「採算に乗らない」と反対する役員会を押し切って沖縄印刷を実現した。当時は3千部程度の契約部数だったので、そのままなら、確かにそろばんは合わない。
その後、3年、現地印刷の採算ラインと言われる7千部を達成している、という。当初はご祝儀の購読もあったので一度は8000部を超えたようだが、その後、ご祝儀が終わって一時は6千部台まで減ったが、再び盛り返して7千部に戻した。
日経側でも最初はあまり極端に増加しないように抑制した気配はある。というのは、当初はホテルで日経は見かけなかった。出張中のビジネスマンにとっては日経朝刊を早く読みたいに違いないが、急に部数を増やすのは業界を刺激する、という配慮から、時期を待っていたのではないか。最近、那覇のホテルで日経新聞朝刊を読めるようになった。それで一度落ち込んだ部数が回復してきたのではないか。
大震災後、沖縄は首都圏、近畿圏から離れているので同時に被災する危険の少ないBCP(事業継続)の候補地として脚光を浴びている。また、急発展するアジア地域に最も近い「玄関口」として、アジア進出の最前線拠点としても注目されている。状況を調査するためのビジネスマンの訪問、進出打診が相次いでいる。このまま多くの企業が進出してくるだろう。ますます、日経新聞の読者層であるビジネスマンが増え、潜在市場が拡大するはずである。
もっとも、インターネット経由でパソコンやスマートフォンで読める日経新聞「電子版」も充実してきている。「最新版は電子版で」という習慣もでき始めているので、ライバルと言えば、自社の電子版、ということになるのか。いずれにしても、沖縄の発展を支える日経新聞の役割も重要である。