沖縄・宮古島市には、一部の航空ファンには有名な「下地空港」がある。沖縄の本土復帰の翌年、1973年に建設、79年には民間パイロットの訓練が始まった。世界的にも珍しいジャンボジェットも離着陸できる訓練中心の空港である。3000メートルの長さがある。
訓練だけでなく、南西航空(現日本トランスオーシャン航空)が一時、下地~那覇の定期便を運航したり、時にチャーター便も飛んでいるが、下地島、同島と連結した伊良部島の人口を合わせても6000人程度。利用客が少なく、自衛隊誘致や米軍誘致などの案も時折、浮上して、「軍用空港」の是非が住民に対立の火種となっている。
民間航空の利用率が低いのは、定期便の便数が多い宮古島と高速船やフェリーで25分から30分で渡ることができるからだ。宮古島本島住民は宮古空港を使うし、伊良部住民も、宮古空港の方が便利が良い。
しかし、この事態を打開する大きな基盤変化が押し寄せつつある。1つは格安航空のスカイマークが宮古島~那覇の最低料金が2800円で昨秋からサービスを開始したこと。5月29日の予約表を見ると、1日5便も運航している。従来は1万5000円程度だったので、移動コストの壁が一気に取り払われた。2800円の最低料金も2週間前でも確保でき、通常料金も7000円弱で利用できるという。
この情報が知れ渡れば、宮古島への来島者の大幅な増加に結び付き、さらに便数の増加が見込まれれば、空港の能力増強の声が上がるだろう。改めて、下地空港利用の声が強まる。
さらに大きな環境の変化が、2年後に迫る全長4.5kmに及ぶ宮古島~伊良部島大橋の完成である。従来、船便で25分から30分かけて渡っていたのが、いつでも5、6分の短時間で渡ることができるようになる。多少の風で船なら欠航になるところが、橋の通行ならかなりの風まで耐えられる。下地空港と宮古島のホテルやレジャー基地は車で30分から1時間で移動できるだろう。伊良部島・下地島にも世界有数のダイビングスポットがあるので、こちらの方は空港から10分以内ということになる。
この2つの環境の変化から、下地空港の民間航空機運航が復活する可能性が高まってきた。宮古島大好きな筆者にとっては明るい大ニュースである。