平成24年度の沖縄県情報産業振興関連予算が決まった。総額はざっと28億3800万円だが、最も大きな項目は「モバイル機器等検証拠点形成促進事業」で約11億8600万円だった。これはうるま市のIT津梁パークに昨年オープンしたアンドロイド機器の相互接続を検証する沖縄GIOT(グローバル・インターオペラビリティ・テスティング)センターの関連で、日本を含めたアジア地域で製造される情報機器検証のセンターとしての地位を固める計画だ。
24年度予算の2番目が「クラウド拠点形成等促進事業」の約7億円、次いで「沖縄型クラウド基盤構築事業」の4億2900万円となっている。2番目と3番目はともにクラウド拠点を作ることの関連項目なので、クラウド関連は合計でおよそ11億3000万円となって、最大項目の「モバイル機器等検証拠点形成促進事業」とほぼ肩を並べる。「アンドロイド検証センター」と「クラウド」の2つが24年度の最重点であることがよく分かる。
このうち、クラウド関連は、世界的に需要が急増しているデータセンターの構築やそのデータセンターを軸に沖縄がクラウドの重要拠点になる可能性を追求するものである。データセンターはビッグデータなど、インターネットの中で急膨張するデータの処理、保管の拠点として重要だが、沖縄の場合には、これに加えて昨年の福島原発事故以来の電力不足に対応したBCP(事業継続計画)需要が生まれている。
沖縄最大のデータセンター会社であるファーストライディングテクノロジー(FRT、浦添市)は22日の株主総会での事業説明で、2012年3月期決算は売上高約13億円、6期連続の単年度黒字を計上したことを報告した。取引先は情報系のほか、食品製造業や金融関係など多業種にわたり、その9割以上の企業が首都圏に本社を置いていて、DR(ディザスタ・リカバリー)目的で沖縄にバックアップセンターを置いた。さらに「東日本大震災直後から問い合わせが殺到し、半年間で例年の10倍の250件ほどに上った」(上原稲一社長)という。もちろん、準備が必要なので、すぐに成約には至っていないが、「昨年11月ごろから少しずつ実績が伸びている」という。さらに今年に入ってからは、原発の再稼働が難航していることから「関西圏からの問い合わせも増加傾向」にあるようだ。
今後、日本企業のアジア進出に伴う情報センターとしての沖縄のデータセンターの需要も拡大が予想され、沖縄のデータセンターの発展が期待されそうだ。