ニッポンの漁業を救え!~”省エネ”と”未利用魚”に活路~

ニッポンの漁業を救え!~”省エネ”と”未利用魚”に活路~

掲載された紙面はこちら

危機に立つ日本の食卓

 燃料費の高騰で再び三度、日本の水産業が危機に立たされているが、これとは別に日本の食卓から魚が消えてゆくピンチも進行中である。

 中国、欧州と水産物への需要が急拡大して、日本のバイヤーが水産物購入の商談で競り負けるケースが増加しているそうである。その象徴的な水産物が日本人の大好物、まぐろ。このまぐろが中国や欧州企業の高値での買いつけで日本には回って来なくなってきた。

 変わったところでは、仙台の特産品、「ほや」。最近、急に高騰しているそうである。原因は、やはり中国富裕層が買いあさり始めたためらしい。

 先進国で急に水産物の需要が強まった背景には諸説がある。

 中国やロシアなどの富裕層が珍しい食材を求めて水産物に注目している、という説。日本人の豊かで繊細な高級料理が研究対象になって、そこに使われる食材が人気を呼んでいるというわけである。

 もう一つの説は鳥インフルエンザやBSEなど畜産物がトラブルに巻き込まれて、生産量が低下、その代わりに食材が水産物にシフトしている、というものである。蛋白源の半分以上を水産物に依存してきた日本の食卓は、鳥インフルエンザの影響をこういう形で受けることになる。思わぬ打撃である。

 ただ、中国や欧州のこうした水産物買い付け攻勢の中で、日本人の大好物で埒外にある水産物がある。何かと思ったら「タイ」である。焼くと実が硬くなる、刺身にしても味が淡白ということで、日本人以外には人気がないそうだ。日本人は「めでたい」という語呂合わせもあって、お祝い事には欠かせない魚だが、この語呂合わせは海外では通じないようだ。それにしても日本人にとってはタイは焼き魚にして醤油とレモンやスダチの汁につけて食べれば味も濃いように思うのだが、味覚というのは、どうも国民性、民族性で様々なようだ。ともあれ、日本人が好きな水産物が外国で人気がそれほどないというのは、何となく安心できる話である。

これまでの掲載

中島情報文化研究所 > 執筆記録 > キーワードで読むガイアの夜明け > ニッポンの漁業を救え!~”省エネ”と”未利用魚”に活路~