〝電子ブック〟の衝撃~活字市場はどう変わるのか?~
2010年06月13日
問題意識が希薄になった電子書籍の地球環境負荷軽減効果
マーケティングの成果と言えるのだろう。「iPad」の大ブームである。iPad自体は多機能情報端末で、専用機である「電子書籍リーダー」ではないのだが、その機能の一つであるリーダー性能が優れているために、電子書籍への関心も一挙に高まった。先行しているアマゾンの「キンドール」などの専用の電子書籍リーダーの側でも機能拡充へと一斉に走り出したために、いよいよ「電子書籍」の時代の到来が早まったと言える。
電子書籍はいろいろ便利なところがあるが、不便もたくさんある。わがままなユーザーに対して使いやすさが最も重要なポイントとして求められるが、実は、現在の関心からいえば、紙資源の節約というメリットの方をもっと追求すべきである。
20年ほど前に筆者が日本経済新聞記者として、電子書籍を議論していたころは、もっぱら、森林の乱開発を抑制するという点だった。今日ほど二酸化炭素の排出による温暖化が深刻なものとして理解されてはいなかったが、森林を破壊するということに異常を感じていたための議論だった。今なら、地球環境への影響の有無を最大の焦点にできるはずである。電子書籍によって森林の乱伐をどこまで減らせるか、それに対して、電子書籍で使用するエネルギーはどこまで地球環境に負荷を与えるのか。正確な比較はできないが、おおよその計算で、電子書籍の方が有利なことは想像できる。
しかし、ユーザーの大半は、依然としてわがままである。どちらが地球環境に負荷を与えるのか、現在はほとんど関心をもたれない。もっぱら、電子書籍の議論は、使いやすさに光が当たっている。このブームが一段落した時、改めて、地球環境問題から電子書籍を見直してもらいたい。