1970年代の石油危機のころ、しきりに議論されたテーマに「ソフトエネルギーパス」が
あった。まさにエネルギーの「地産地消」である。「ソフト」というのは、小規模という
ようなニュアンスか。大規模な機械に頼るのを「ハード」と表現するとすれば、その対極
にあるものだ。身近にある自然を大げさではないちょっとした仕掛けで活用する。
たとえば、風を利用するといっても、「風力発電」という大規模なものではない。「風
車発電」。風車といっても、「かざぐるま」と呼んだ方が良いかもしれない。縁日で売ら
れている風車を少し大きくしたようなもので、ぐるぐる回転させて発電する。北海道の山
間部で電灯を灯し、ラジオを聞いた、という技術者の少年時代の話を聞いたことがある。
水力発電もソフトパスでは「水車発電」になる。小川に水車を設けてその回転で小電力
を得る。精米や粉ひきに使われているが、それだけではもったいない。水はなくならない
ので、上流から下流までずらりと並べればけっこう大きな電力が取れるのではないか。
昔は井戸水でスイカやビールを冷やしたが、現代は、地下5メートルほどの空間にある
地中熱が注目されている。地下にある井戸水の冷熱を利用するのと同じ原理だ。この深さ
は地上の気温と違って一定の温度が保たれるので、冬は逆に「温熱」として暖房に使える
のだそうだ。
どうも人類は大規模な迫力のある仕組みに魅惑されて、身近にあるエネルギーを見捨て
てしまったようだ。その大規模な仕掛けは、想定外の事故を起こして危険な毒をまき散ら
したり、恒常的に地球の温暖化を招くものが多い。環境問題、放射能問題で、行き詰ま
った現在、再び多様なエネルギーに目が向き始めた。ソフトエネルギーパスも、また復活
してもらいたいものだ。