富士山、京都・奈良・日光、北海道の雪上レジャーに大分・箱根の温泉郷~数々の名所を擁する日本は外国人も大勢押し掛ける「観光大国」だ、と長らく思っていた。 しかし、今回の取材を通じて、それが幻想だと思い知った。 世界で最も多く、外国人観光客を迎えているフランスの10分の1程度に過ぎない。
それも2010年の話で、東日本大震災に伴う福島の原子力発電所事故で放射能が飛散した結果、2011年は、日光や平泉などの東日本の名所の観光客は激減、奈良や京都まで減少した。 沖縄に寄る予定だった大型観光客船もキャンセルを申し出るなど、大被害を受けて、前年からざっと3割も減少して、フランスの8%程度まで落ち込んだ。 フランスの人口は日本の半分以下なので、人口比にすれば、4%程度。日本は韓国に比べても少ないが、人口は韓国が日本の半分以下なのを考えると、その実力のほどがよく分かる。
「YOKOSO! JAPAN」の大キャンペーンもあって、推進する日本政府観光局は多くの情報を集め、公表している。 今回の取材でも大いに利用させてもらったが、このサイトは実に充実している。 しかし、この日本国内向けのサイトが優秀な割には、肝心の外国観光客向けの「YOKOSO! JAPAN」のサービスが貧弱である。 外国人観光客を相手にしているのに、外国語の表示は英語、ロシア語、フランス語、中国語(2種)、韓国語、ドイツ語など8種類しかない。
他の国に比べるとやる気がないのではないか。 日本よりも年間外国観光客の数が多いタイ国の観光客向けホームページをみると16種類もある。 どうも根本的なところで、観光誘致策はピントが外れているのではないか。 もっと有効な誘致策を打たないと、「観光小国」日本はどんどん世界各国との競争に敗れて、 目立たない存在に落ち込んでゆくような気がする。