貧富の格差
2012年12月11日
筆者は今年「前期高齢者」の年齢に達した。気が付いてみると子供の学費や教育費、マ
ンションを購入した際に組んだ高金利の住宅ローンなどで毎月の給料はあっという間にな
くなって、たいした預金も残っていないが、借金も大方なくなってきた。
この実感で、今回の企画で収集したデータをみて、愕然とした。「世帯主の年齢層別貯
蓄・負債現在高」の数値である。
まず、貯蓄現在高。1990年には20歳台が平均341万円だったのが、20年後の2010年には
274万円と20%も減少した。これに対して60歳台以上は90年の1972万円が10年には2172万
円と10%増加した。90年には60歳台と20歳台の差は5.7倍だったが、10年には7.9倍に拡大
した。
さらに負債を加味すると格差はもっと広がる。90年の20歳台の負債現在高は平均113万
円だったものが、10年には322万円に増加、貯蓄から負債を引いた純貯金資産は90年の
228万円から、10年は一転してマイナス48万円と債務超過になっている。60歳台の純貯金
資産は1857万円から1939万円と約5%増加しているのと比べると若年層はどんどん余裕が
なくなっているのが分かる。
結婚しない若者、子供を産まない若夫婦が多いのも、この現状がなせるわざである。若
者が自動車を持たなくなったのも同様の事情だろう。企業が若者向けの商品開発よりも、
シニア層向けの商品開発、サービス開発に向かうのも、当然の方向と言えようか。