12日、13日と、沖縄でIT協会(企業情報化協会)の「データセンター」セミナーに出席してきた。1日目はセミナー形式で進められ、沖縄ソフトウェア事業協同組合の小渡理事長や小那覇、大城副会長も参加、会場は予定を上回る100人近くの出席者で熱気がこもった。日本版SOX法(金融商品取引法)の施行に伴う内部統制体制の整備を進めてゆくうちに、情報システム部門の次の課題が事業継続計画(BCP)の確立、その前提条件としてのDR(ディザスターリカバリー)体制の構築がいずれ必須になることが次第に明確になってきたため、首都圏から遠くはなれた沖縄がDR用のデータセンターの好適地として注目され始めた、ということである。
2日目の現地視察ではデータセンターやそれを利用してビジネスを始めたIT企業、BPO企業、合計7箇所を訪問した。沖縄のデータセンターの象徴的存在である沖縄電力の子会社FRTのデータセンターは、3フロアーのうち2フロアーは満杯になり、残された1フロアーも4分の1はラックまで設置済みですでに予約済み、残り半分まで、ラック設置の工事が行われていた。もうすぐ満杯の見通しだ。
国からの補助金で進められてきた宜野座村のサーバーファーム、名護市のマルチメディア館、みらい館などには、格安の条件で自治体から構築物を借り受け、NTT西日本、ビックニイウスがデータセンター事業を展開し始めているが、大型の施設を利用しているため、まだ、余裕がある。利用料金を聞くと、全国平均の3分の1以下、従業員の給与も首都圏の3分の2程度という好条件である。首都圏までの通信回線は無料の上に条件を満たせば35%の税控除の特典も得られる、というから、首都圏から参加したユーザー企業の情報担当者たちも色めき立った。
トランスコスモス、インデックス沖縄、レクサスなどの企業も、既存のこれらのデータセンターを借り受けて付加価値をつけてさらにユーザー企業に提供するビジネスをスタートさせており、活気に満ちたデータセンター最前線だった。
ユーザー企業の情報システム部門は、日本版SOX法に伴う内部統制の当面の対応策を終えると、ただちに、DRが不可避の緊急課題であることに気がつくはずである。そういう状況を肌で感じるためにも、沖縄データセンター視察は有効だった。