驚異的なASP、データセンターの急膨張

驚異的なASP、データセンターの急膨張

 1月25日、優秀なASPサービスを表彰する「第2回ASP・SaaS・ICTアウトソーシングアワード」の表彰式が行われた。この賞は、JASPAの賀詞交歓会・パネル討論会でご登壇いただいた河合輝欣ユー・エス・イー会長率いるASPIC(ASP・SaaSインダストリーコンソーシアム)の主催で、筆者はこの賞の選考委員長を務めている。今年は、ASP部門が清水建設の社内ベンチャーから発展したプロパティデータバンク社の不動産管理サービス「@プロパティ」、新設のデータセンター部門は富士通の館林システムセンターがそれぞれグランプリに輝いた。

 清水建設という一般企業が自社のために蓄積した情報資源を外部にASPサービスとして提供したものが、情報専業各社のサービスを押しのけてグランプリになったことが驚きだったが、もっと驚いたのはASPサービス全体の膨張振りである。

 応募96社のライセンス数の前年比比較で、約1.8倍へと増加した。ライセンス数の伸びがそのまま売り上げの伸びとは行かないだろうが、それにしても1.5倍くらいには拡大しているのではないか。ASPICでは2年ほど前に、市場の伸びは年率30%の急増、と予測しているが、それを遥かに上回る増加である。ASPは自社のパッケージソフトの販売に影響を与える、として、ASPを手がけることを躊躇する向きもあるが、これだけ勢いよく伸びているとなると、さすがに迷っている場合ではなくなっていることが実感されるだろう。ASP・SaaSの時代が目前に迫ってきている。

 もう一つの驚きが、データセンターの膨張である。グランプリの富士通の館林のセンターは5000ラックの収容能力があるという。カタログ性能では1ラック40サーバーの収容(実際はそこまで詰め込めむのは難しいらしいが)なので、20万サーバーが収容可能という計算になる。稼働率はすでに80%以上で、数年以内のセンター棟の増設を検討しているそうである。その他の応募企業も稼働率が90%というセンターも多く、増設を計画中である。さらに3400ラックをもつという大規模センターの稼働率が48%と低いので理由を聞くと、昨年夏に2倍に増設したのだそうで、増設直前は90%以上の稼動で満杯状態だったそうである。

 応募企業は優秀企業なのでとりわけ増勢なのかもしれないが、それにしてもすごい勢いである。ざっと計算してみると、1年間で稼動ベース、1.3倍から1.5倍の伸びではないか。この傾向から何を読み取るか。それぞれの事業重点策の参考にしていただきたい。

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