プロ野球も始まったばかりなので一喜一憂しても仕方が無いのだが、それにしても同じセ・リーグの球団から選手を大補強したはずの巨人軍が開幕3連敗は、久しぶりにファンに戻ろうかと期待していた旧巨人軍応援団としてはがっかりである。これだけの人材をそろえながら勝てないのでは、何ということだ、マネージャーである監督にクレームをつけたくなる。すでに出来上がった選手を補強した陰で、本来は才能を伸ばす機会を与えられたはずの若手の可能性が死んでゆくのが怖い。将来をになう人材殺しの罪は重い。優秀な現場をそろえれば立派な仕事が出来ると思うのは大いなる勘違いである。そこにはきちんとしたマネージャーが不可欠である。
本当の名監督は、無名の高校生や社会人、テスト入団を含め、素材の可能性を見出して鍛え、能力を養ってゆくことが得意な人である。天才的な名選手は必ずしもこういう能力には長けていない。名選手、必ずしも、名監督に非ず、である。練習しなくても、すべてに卓越していたので、彼の経験は他の人の参考になりにくいのである。某監督のように、「来た球をバットの芯に当てれば良い」などと言われても困ってしまう。「一日にうさぎ跳びを100回、1ヶ月、続けろ」「毎日百球、ゴロのノックを受けろ」「左脇を締めろ」「あごを1センチピッチャーの方にねじれ」などと具体的に言ってくれれば、才能は伸びる。
その反対にぼやきで有名な監督は、40歳の中年で、他球団お払い箱の選手をホームラン王に復活させてしまう。安いコストで集めた選手に魔法をかけてその力を甦らせ、高い価値のある選手に変えてしまう。「再生工場」である。もちろん、ベテランの力を復活させるだけでなく、若手の育成も巧みだ。この監督も選手時代は名選手だったが、天災肌ではなく、努力の人だった。
ソフトウェア産業はどうだろうか。優秀な人材が集まらない、と嘆くばかりでは、とうてい事態は打開できない。ベテランの再生、若手の可能性を発掘して花開かせる。それができるかできないか。OJTであれ、どこかの研修機関を選ぶにせよ、ここ一番、経営者としての手腕が問われる時期である。