将来の東アジアのセンターの一つ、台湾とどう付き合うか

将来の東アジアのセンターの一つ、台湾とどう付き合うか

 沖縄のIT産業振興、沖縄への企業誘致をライフワークとしてから、知人たちが筆者に向かって口にする共通の言葉がある。「賃金が安い、人的資源があふれている、気候が良い、杉花粉症がないらしい、という沖縄のメリットはよく、わかった。だけど、沖縄は東京から遠い(日本のはずれ)よね。別にわざわざそんなところまで行かなくたって・・」というものである。

 しばらく前まで、これを言われると、筆者も言葉が出なかった。

 しかし、最近、筆者の認識は深まった。今回の金融危機でより事態がはっきりしてきたが、世界をリードしてきた米国単独主役の時代は終わったということである。次の主役がどうなるのかはまだ、見通しがつかないが、視野を10年先に置くと、東アジアの中心が東京でないのは明らかに思える。中国やシンガポール、そこに台湾(中華民国)も加わるかもしれない。ベトナムやフィリピン、インドネシアもからむだろう。だとすると、東アジアのセンターは現在の東京からはるかに西に移動するだろう。

 そうしたとき、東アジアのセンターに一番近い日本の都市は那覇になる。沖縄地域は日本が東アジアに伸ばした窓口になる、というのが新しい認識だ。沖縄は東アジアの情報も人も容易に受け入れる「日本の拠点」に発展する可能性があるのである。

 もう一つの可能性が台湾(中華民国)である。現に、日本の大手企業が東アジアに事業拠点を展開するときにデータセンターを台湾に設置する例が出てきた。まさしく東アジアの情報拠点とするには、もはや東京では駄目だ、という認識からである。10年後の台湾は、現在の台湾とは違って新しい機能を持ち始めるかもしれない。こうした可能性を先読みして、今から台湾のIT産業と交流のネットワークを築くことが大切だろう。

 メッサが加盟する全国ソフトウェア協同組合はこうした観点から、台湾の情報会社を組織する最大の団体である「中華民国情報サービス産業協会(CISA)」と協力関係を築くことになり、今週水曜日(3日)に東京・泉岳寺の組合事務所で調印式を行う。CISAは20数名の大視察団を結成して来日する。メッサのメンバーは地の利を活かして、ぜひともこの調印式とその後の懇親会に参加してもらいたいと思っている。残念ながら、まだ、十分にその重要な意義が理解してもらえないのか、参加者が予想外に少ないのが残念である。まだ、明日、申し込む機会があるので、ぜひ、事務局に参加の連絡を欲しいものである。

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