ASP事業者の業界団体「ASPIC」(河合輝欣会長)が「データセンター促進協議会」を発足させた。インターネットでの画像ファイル・映像ファイルの流通の急増やDR(ディザスタリカバリー)のための拠点の分散化など、急速にデータセンターの需要が強まっている。ASPやSaaSの事業者で、自らはセンターを持たずに、ホスティングサービスを利用する企業が増大している、など、今後もデータセンター需要は急ピッチで増大しそうである。その際、外部の企業がデータセンターを選択する際に役立つ情報を流通させる(情報開示)のが目的である。
会長には村井純慶應大学教授、副会長には、海野忍NTTコミュニケーションズ副社長、中島洋首都圏ソフトウェア協同組合理事長(MM総研所長・国際大学教授)が就任する予定。
実は、この「データセンター」の品質水準の参考になるガイドラインが必要になるかどうかでは議論がある。クラウドコンピューティングの時代になると、どこのデータセンターを使っているかはユーザーからは見えなくなるので、関係ないではないか、という意見である。そうした指摘にはもっともなところがある。しかし、ASPやSaaSの事業者が、仮に、クラウドを利用するにしても、クラウドを構成する個々のデータセンターの品質を気にするのは当然だろう。またセンセィティブな情報が、十分に法令が出来上がっていない海外地域に転送されて、海外のデータセンターでデータ処理される、という事態を嫌うSaaSの事業者も少なくはあるまい。
個々のデータセンターの開示基準を決めることは、そうした諸条件を明確にして、データセンターを利用する決定がスムーズになることにつながるのではないか。そんな思いから、副会長を引き受けることにした。データセンターは電力を消費しすぎるので、どのような工夫をするか、その方法論の検討なども、今後は重要な検討事項になるだろう。安全性、信頼性を追求する上で、これからは、炭酸ガス負荷を地球に対してどの程度を与えているか、ユーザー企業も関心を強めるはずだ。協議会がどのように発展するのか、注目してみていていただきたい。