政府が景気の底入れ宣言をしたのが連休明けごろだったような気がするが、その後、トヨタのハイブリッド車「プリウス」の新タイプが爆発的に売れていて、生産現場では非正規社員の再雇用が始まったとか、中国市場で薄型テレビの販売が好調で国内で製造している液晶ディスプレー用の半導体が増産に入ったとか、ユニクロの販売が絶好調だとか、このところ景気の良い記事が新聞紙面を飾るようになった。
本当か、と半信半疑だが、情報サービス産業の販売高も6月は0.5%ほど増加に転じたという報告もある。政局は大混乱だが、経済は最悪期を脱したようにも思える。まだ失業率は5%を超える高水準で、この消費への影響を考えると、やはり政治と同様、まだ世界に恥をさらしたままの状況で、楽観はできない、とまた、暗い気持ちになる。
ここしばらくのイベントで、景気に影響が出そうなファクターは総選挙である。政治は「一寸先は闇」ということなので確定的なことは言えないが、おおむねのところ、8月の総選挙の後は政権交代が起こるだろう。選挙自体もお祭なので一応、消費を刺激し、景気を上昇に導く効果があるが、その後に起こるであろう政権交代が、果たして、国民に前向きな気分をもたらすのか、それとも不安を引き起こすのか。あまり経験がないので、予測が難しい。いろいろな観点があるだろう。
麻生首相がばらまきしようとした大型補正予算は、「大型無駄遣い」の部分を点検するために一時、執行が停滞したり、凍結されるものも出てくるだろう。この点ではマイナスがある。しかし、高速道路の無料化などが進めば、物流費の低下、観光産業への刺激など、プラス効果も出てくるだろう。もっとも、休日の高速道路乗り放題で1000円ということでETC装置が売れに売れたが、無料ということになると、ETCも無用の長物になるのかと思うと、「あれは何だったのか」と悔しい気持ちになるかもしれない。投資を回収するためには、無料化の前に土曜日、休日にばんばん高速道路を利用しないと間に合わない。
どうもシミュレーションがうまくできない。
ともあれ、「変化」は人間の気持ちを高揚させる。その景気刺激効果を期待するほかはない。本来なら経済が不活性になるお盆の時期に、消費に刺激をもたらす選挙があることは景気にとって悪いことではない。これが新たに追加されたファクターであることは間違いない。